ビットコインと米国株、相関関係の弱まりを示す初期兆候
  • ゴールド(金)は12日連続で過去最高値を更新し、アメリカ株式市場全体の弱気にもかかわらず、強い需要があることを示している。
  • ゴールドの値動きは米国株との相関性がますます低下しており、投資家がディフェンシブ資産へシフトしていることを示唆してる。
  • FRBのパウエル議長は「FRBプット」の考えを否定し、景気後退時に中央銀行による株式市場を支える介入を期待すべきではないことを示唆した。

4月16日のビットコイン(BTC)と米国株の価格動向は、両者の相関関係が弱まりつつある初期の兆候を浮き彫りにし、投資家の注目を集めた。

通常、分散投資ポートフォリオでは、資産間の相関関係はほとんどないか、まったくないものと期待される。例えば、ゴールド(金)は今年12回の新たな日次の最高値を更新し続けており、米国株との明確な乖離を示している。

ビットコインはこれまでナスダック100のレバレッジ取引と位置付けられてきたが、最近の傾向は、その関係が弱まっている可能性を示している。

ブラックロック(BlackRock)のiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)は、アメリカ市場の取引時間にのみ取引されるファンドだ。16日、ナスダック100が一時4.5%下落し、終値で3%以上の急落を記録したにもかかわらず、IBITは0.46%上昇して取引を終えた。ナスダック100は歴史上5番目に大きな下落幅を記録するところだった。

ビットコインにレバレッジをかけた戦略銘柄であるストラテジー(Strategy)はインベスコ・QQQ・トラスト(QQQ)に組み込まれているが、マグニフィセント・セブンと呼ばれる7つの主要テクノロジー株がすべて下落する中、0.3%上昇して取引を終えた。これは、両者の乖離が拡大していることを示している。

一日を通して、ビットコインとナスダックの相関は変動した。例えば、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長が発言している最中は両者ともに下落したが、その後、ビットコインは8万4000ドルを超えて反発したのに対し、ナスダックは取引終了まで新たな日中安値を更新し続けた後、引けにかけて回復した。

パウエル議長の発言は予想以上にタカ派的であり、関税の不確実性や引き上げによるインフレ懸念を「進行中のリスク」と表現した。短期的なインフレ期待も上昇している。

市場が特に動揺したのは、「株式市場に対するFRBプットは存在するのか」という質問への回答だった。パウエル議長は「ノーと言っておく」と明言した。

「FRBプット」とは、市場が急落した際にFRBが介入して市場を安定させるという長年の理論であり、ビットコインのような保有資産には本質的に存在しないセーフティーネットだ。現在、残されている疑問は、パウエルがはったりをかけているのか、それともFRBが本当に株式市場の下支え役から手を引くのか、ということだ。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin and U.S. Equities Show Early Signs of Fading Correlation