強気派が安全資産と考えるビットコイン、今はむしろリスク指標

- ビットコインは、豪ドルと円の為替レートと強い正の相関関係がある、米中貿易戦争が進むにつれて、ますますリスクのバロメーターとしての役割が強まっている。
- ゴールド(金)との相関係数は現在-0.8で、両者は逆の動きをする傾向があることを示している。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領による貿易戦争は3月以降、金融市場に大きな変動をもたらし、投資家がこの混乱した環境でリスク回避手段となる資産に殺到する状況を生み出している。
明確なのは、ビットコイン(BTC)はその一つではないということだ。これは、ビットコインを価値の貯蔵手段または安全資産として「デジタルゴールド」と見なしてきた強気な投資家にとって残念な結果だ。現実として、貿易戦争の開始以来、ビットコインは為替市場のリスク指標とされるオーストラリアドルと日本円のペア(AUD/JPY)との相関性がより高まっている。
TradingViewのデータによると、ビットコインとAUD/JPYの90日間の相関係数は2月下旬にプラスに転じ、2021年11月以来の最高水準に達している。報復的な関税合戦により、中国からのアメリカへの輸入品に対する累積関税率は245%に達し、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長は4月16日にスタグフレーションのリスクを再確認した。

相関係数0.80(最大値は1)は強い相関関係を示していて、BTCとAUD/JPYの2つが同じ方向に動く傾向が強いことを意味する。
一方、ビットコインとゴールド(金)の90日間の相関係数は2月下旬にマイナスに転じ、現在は-0.80まで低下し、最小値の-1をわずかに上回っている状態だ。これは、2つの資産の動きは密接に関係しているが、方向が逆であることを示している。
BTCはリスクの代理指標
オーストラリアドルは中国経済に敏感で、商品輸出国の通貨であるため、リスク通貨と見なされている。円は、日本が数十年にわたり国際的な債権国であり、ほぼゼロ金利を維持してきたことから、安全資産とされる。
世界市場が楽観的で商品需要が上昇すると、豪ドルは通常上昇し、投資家のリスク許容度が高まっていることを反映し、円は下落する。逆に、投資家がリスク回避的になると、逆の現象が起こる。
そのため、トレーダーはAUD/JPYをリスク指標として監視し、上昇トレンドを株式などのリスク資産にとってのポジティブなサインと見なしている。ビットコインはすでに同様の役割を果たし始めており、その地位を強化している。相関データは、BTCが現在、AUD/JPYと同様にリスクセンチメントの指標として機能していることを示す。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Bitcoin, the Haven Crypto Bulls Hoped for, Is More a Barometer of Risk: Godbole