ビットコイン、8万5000ドル付近で足踏み──トランプ大統領がパウエルFRB議長への圧力強める

- ビットコイン(BTC)は8万5000ドル前後で安定し、CoinDesk 20 Indexはビットコインキャッシュ(BCH)、ニア(NEAR)、アーベ(AAVE)の上昇に牽引された。
- トランプ大統領は内々にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の解任を協議していると報じられ、市場の安定性とFRBの独立性への懸念が高まっている。
- ビットコインのオプショントレーダーは、9万ドルから10万ドルの強気の投資をしながら、短期的な下落の可能性からのプロテクションを求めていることが、デリビット(Deribit)のデータで示されている。
トランプ米大統領とパウエルFRB議長の緊張が投資家に新たな不透明感を与える中、ビットコインは4月17日、8万5000ドルをわずかに下回る水準で推移した。
市場は16日、パウエル議長のタカ派的発言を受けて下落した。パウエル氏はトランプ大統領の関税政策を批判し、景気減速と物価上昇、つまりエコノミストが「スタグフレーション」と呼ぶ状態を招く可能性が高いと述べたのだ。
パウエル氏は発言の中で、当面は物価に重点を置くことを明らかにし、FRBの政策が従来考えられていたよりも引き締まることを示唆した。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は17日、事情に詳しい関係者の話として、トランプ氏は数カ月前からパウエル氏の解任について内々に話し合っていると報じた。
パウエル氏の後任としてケビン・ウォーシュ(Kevin Warsh)前FRB理事が控えているが、ウォーシュ氏は大統領にFRB議長に逆らわないよう働きかけているという。
ウォーシュ氏とともに警告を発しているのはスコット・ベッセント財務長官で、FRBは政治的影響から独立しているはずであり、解任はすでに揺らいでいる米国市場をさらに混乱させかねないと述べている。
ブロックチェーンベースの予測市場ポリマーケット(Polymarket)では、トランプ氏が今年パウエル氏を解任する確率は19%に上昇し、この契約の1月下旬の取引開始以来最高値を記録した。
トランプ氏の発言は、欧州中央銀行(ECB)が17日、6会合連続となる主要政策金利の引き下げを行い、成長見通しの悪化を警告したことに続くものだった。
17日の朝に発表された最新のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は、今月に入って急落し、過去2年間で最低の水準(-26.4)まで落ち込んだ。
一方、支払価格指数は2022年7月以来の高水準に上昇し、トランプ政権の大規模関税政策が米国経済をスタグフレーションに追い込むとの懸念が高まった。
S&P500とハイテク株比率の高いナスダック株価指数は17日の日中、ほぼ横ばいで推移した。
暗号資産(仮想通貨)市場を見ると、ビットコインとイーサリアム(ETH)は過去24時間で0.8%上昇した。CoinDesk 20 Indexのほとんどの資産が日中上昇し、ビットコインキャッシュ、ニア、アーベが上昇を主導した。

ウォール街の恐怖が高まる中、ビットコイントレーダーはどのようなポジションをとっているのか?
ビットコインは8万3000ドルから8万6000ドルの間で安定しており、トレーダーは強気な投資を行う一方で、ダウンサイドプロテクションを求めている。
暗号資産オプション取引所のデリビットが17日のマーケットアップデートで発表したところによると、デリビットでは、トレーダーが5月と6月に満期を迎える9万~10万ドルのコールに積極的に投資している。コールに対する需要は、価格上昇の継続への期待を示している。
このような強気の投資の一部は、プットオプションの売りで集めたプレミアムで賄われている。
同時に、今月満期を迎える8万ドルのプットオプションの買いにも再び関心が集まっており、これは潜在的な価格下落への備えを示唆している。プットオプションの買いは、価格下落に対する保険のようなものだ。
30日インプライド・ボラティリティを測定するウォール街の恐怖指数であるVIXが、50を超えた直近の高水準から後退したにもかかわらず、依然として50日平均を大きく上回っている中で、このような多様な双方向の流れが生まれた。
VIXは、マクロ情勢が収束するどころか、いまだ解決されていないことを警告していると、デリビットはXに投稿した。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin in Standstill at $85K as Trump Increases Pressure on Fed’s Powell