イーサリアムのブテリン氏、「EVM」から「RISC-V」への移行を提案──実行レイヤーの効率向上を図る

- イーサリアムの共同創設者であるヴィタリック・ブテリン氏は、スマートコントラクトを動作させるシステムを根本的に見直す新たな提案を共有。
- EVMはイーサリアムの基盤設計の重要な要素であり、他のブロックチェーンがひしめく分野で、ネットワークの成功を後押しした主要な要素の1つとみなされている。
- ブテリン氏は、イーサリアムをRISC-Vアーキテクチャに移行することで「イーサリアムの実行レイヤーの効率が大幅に向上する」と主張。
イーサリアム(Ethereum)の共同創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は週末、同ブロックチェーンのスマートコントラクトを作動させるシステムを根本的に見直す新たな提案を発表した。
ブテリン氏の提案は、イーサリアムの主要開発フォーラムに投稿されたもので、ネットワーク上でプログラムを実行するソフトウェアエンジン「イーサリアム仮想マシン(EVM)」を、組み込み暗号化機能やその他の利点を提供する人気のオープンソースフレームワーク「RISC-V」に置き換えるというものだ。
EVMはイーサリアムの基盤設計における重要な要素であり、他のブロックチェーンがひしめく分野で、ネットワークの成功を後押しした主要な要素の1つとみなされている。イーサリアム以外の多くのネットワークが、独自のチェーンを構築するためにEVMを採用しており、コインベース(Coinbase)のベース(Base)チェーンなど、イーサリアム上に構築されたレイヤー2ネットワークのエコシステムも成長を続けている。
EVMは長年にわたり、イーサリアムの開発において重要な役割を果たしてきた。EVMを利用する他のチェーンは、イーサリアム上のアプリとシームレスに接続でき、EVMベースのネットワークの開発者は、イーサリアムエコシステム内で直接アプリケーションを構築するための移行をよりスムーズに行うことができる。
実行レイヤーの効率向上
ブテリン氏は、イーサリアムをRISC-Vアーキテクチャに移行することで、「イーサリアムの実行レイヤーの効率が大幅に向上し、スケーリングの主要なボトルネックが解消され、実行レイヤーのシンプルさも大幅に向上する」と主張。(実行レイヤーとは、ネットワークにおいてスマートコントラクトを読み込む部分。)
RISC-Vアーキテクチャは、ポルカドット(Polkadot)などの他のブロックチェーンエコシステムでは採用が限定的だったが、ブテリン氏によると、特定の種類のアプリケーションでは「100倍以上の効率向上」をもたらす可能性がある。これらの改善により、長年採用の大きな障壁とされてきたネットワークコストを削減できる可能性がある。
RISC-Vの主な利点の1つは、特定の種類の暗号化をネイティブにサポートしていることだ。ブテリン氏の見解では、この新しいアーキテクチャへの移行は、ゼロ知識暗号化を中心にEVMを再構築するというコミュニティの現在の計画よりも、シンプルな代替案となる可能性がある。
ブテリン氏の提案は、開発者が長期的に取り組むべき課題であり、イーサリアムのコンセンサスレイヤーの刷新を目指す「ビーム・チェーン(Beam Chain)」のようなプロジェクトに匹敵する。
取引量の減少
RISC-Vの提案は、イーサリアムコミュニティが広範な内省を行っている時期に発表された。最近、取引量は減少しており、イーサリアムのトークンは市場全体に後れを取っている。
今年初め、イーサリアムエコシステム全体の開発を支援する主要な非営利団体であるイーサリアム財団(Ethereum Foundation)は、エコシステムに明確なロードマップがなく、競合に比べてリードを失いつつあるというコミュニティメンバーからの印象を改善するため、リーダーシップの交代を実施した。
|翻訳・編集:廣瀬優香
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|原文:Vitalik Buterin Proposes Replacing Ethereum’s EVM With RISC-V