ビットコインとユーロのオプションが米ドルに対して強気のサイン──米国資産からの流出が続く

- アメリカの株式市場の下落にもかかわらず、ビットコインとユーロは対米ドルで堅調に推移している。
- 米ドルに対する強気の姿勢は、政策の不透明感に起因するとされる米国資産からの広範な資金流出の一環だ。
意外な展開として、ビットコイン(BTC)およびユーロ/ドル(EUR/USD)の為替レートに連動したオプションが、アメリカの株式市場の下落にもかかわらず、米ドルに対する強さを示している。この動きは「アメリカ売り(sell America)」トレードが加速していることを示唆している。
現在、ビットコインの短期および近期期限のリスクリバーサル(コールオプション需要とプットオプション需要の差を測る指標)はわずかにプラスとなっており、市場が強気に傾いていることを示している。デリビット(Deribit)やアンバーデータ(Amberdata)などのデータによれば、これは直近まで続いていた、近期期限オプションで一貫してプットが好まれていた傾向からの回復を示している。
同様に、1カ月物のEUR/USDリスクリバーサルもプラスに転じており、ユーロのコールオプションに対する強気な見方が示されている。これはExante Data Inc.の創業者兼CEOであるイェンス・ノルドヴィグ(Jens Nordvig)氏が追跡したデータによるものだ。
コールオプションは買い手に原資産の価格上昇による非対称的な利益獲得の機会を与える一方、プットオプションは価格下落に対する保険となる。そのため、コールオプションの買い手は暗黙のうちに強気であり、プットオプションの買い手は弱気で、価格下落による利益やヘッジを狙っている。
BTCおよびユーロのコールオプションがドルよりも選好されていることは、最近投資家から敬遠されている米国資産から資本が引き続き流出し、ビットコインやユーロ、さらにはゴールド(金)など他の資産へと移動するとの期待を示している。
4月21日、ダウ工業株30種平均は700ポイント以上急落し、月初来の下落率は9%を超えた。同時に、ユーロを含む主要な法定通貨に対する米ドルのパフォーマンスを示すドル指数(DXY)は、過去3カ月で10%下落し、3年ぶりの安値となる98まで低下した。加えて、長期米国債の価格も下落し、30年債利回りは5ベーシスポイント以上上昇して4.90%となった。
米国資産の同時売りは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領による貿易戦争や、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長の解任意向報道などに起因する政策の不確実性の高まりと一致しており、取引戦略の見直しを促している。
「我々はいま、あらゆる相関関係が歴史的に転換する戦略的な資産配分のシフトの中にいる。多くの投資家が一歩引いて、新たな視点で考えるべき時だ」とノルドヴィグ氏はXで述べている。
21日にBTCが8万8000ドルを突破し、EUR/USDは2021年11月以来の高値となる1.1575まで上昇した。ゴールドも初めて1オンス3400ドルを突破し、記事執筆時点で過去最高値の3495ドルに達している。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin, Euro Options Signal Bullishness Against Dollar Amid Equity and Bond Market Downturn