ビットコインが9万ドルを突破する中、ストラテジー、コインベース、マイナーなどの暗号資産銘柄が上昇

- 暗号資産(仮想通貨)関連株は、ビットコイン(BTC)の9万ドル超の上昇に後押しされ、株式市場全体を上回る急騰を見せた。
- ストラテジー(Strategy)やコインベース(Coinbase)のような主要暗号資産企業の株価は8%~9%上昇し、ビットディア(Bitdeer)、クリーンスパーク(CleanSpark)、マラ・ホールディングス(MARA Holdings)、ライオット・プラットフォームズ(Riot Platforms)のようないくつかの暗号資産マイニング企業は2桁の上昇率を記録した。
- 4月22日の反発にもかかわらず、米国のマイニング企業は関税と潜在的な成長鈍化による課題に直面している。
暗号資産関連株は4月22日、ビットコインが9万ドルを超え、デジタル資産全体でリスク選好が再燃した広範な暗号資産ラリーの勢いに乗って急騰した。
最大のビットコイン保有企業であるストラテジーと暗号資産取引所コインベースの株価は、セッション中に8~9%上昇した。
上昇を牽引したのはビットコインマイナーで、その多くが2桁の上昇率を記録し、ビットコインの5%の上昇を上回った。ビットディア・テクノロジーズ(Bitdeer Technologies)は約20%上昇し、ビットファームズ(Bitfarms)、クリーンスパーク、サイファー・マイニング(Cipher Mining)、マラ・ホールディングス、ライオット・プラットフォームズはセッション中に10%から15%上昇した。
一方、株式市場も前日の下落から反発し、ナスダックは2%、S&P500は1.7%上昇した。伝統的金融(TradFi)市場の上昇は、米中関税の緊張が緩和する可能性があるとの報道が投資家心理を高揚させたことによる。
マイナーと関税リスク
マイニング株の反発は、マージンの圧迫、ハッシュレート競争の激化、関税に起因する課題のすべてがリスク資産に対する広範な市場の低迷と組み合わさったことによる、数カ月にわたるアンダーパフォーマンスの後にもたらされた。すべてではないにせよ、上場マイナーの大半はまだ、数カ月ぶりの安値近辺で取引されている。
米国を拠点とするマイニング企業にとって問題となっているのは、トランプ政権の関税政策であり、ASIC(ビットコインのマイニングに使用されるマシン)の輸入コストが大幅に上昇する恐れがある。
つまり、米国内のマイニング事業の成長率はおそらく大幅に低下するか、あるいは成長が完全に止まるということだ。
マイニングハードウェアプロバイダー、Synteq Digitalの共同創業者兼CEOであるタラス・クーリク(Taras Kulyk)氏は、「関税は、米国における将来の支出と設備投資に重大な影響を与えるだろう」と述べ、次のように続けた。
「これまでは高コストに見えていた他の地域も、新たなインフラや設備投資のターゲットとして注目されるようになるだろう。特にカナダは、ホワイトハウスによって導入された世界的な関税制度の実施によって恩恵を受ける可能性が高い」
関連して、ビットディアのアウトパフォーマンスの背景のひとつは、同社が独自のASIC製造事業を展開しており、先日、低迷する市場で機器を販売する代わりに自社マイニング能力構築を優先する決定を下したためかもしれない。
ステーブルコイン大手のテザー(Tether)社もビットディア株を買い漁り、4月17日の時点で同社はビットディアに3200万ドル(約45億円、1ドル=142円換算)を投資している。
それでもほとんどのマイナー株は、ホワイトハウスが新関税政策を発表するずっと前の12月以来、下落トレンドにある。現在、ビットコインは重要なテクニカルレベルを上回り、流動性が戻っているため、マイナーはビットコインの上昇に対するレバレッジの効いた代理として買いを集めているのだろう。
22日のアウトパフォーマンスにかかわらず、関税は他のリスク資産とともに、マイナーやほとんどの暗号資産関連銘柄で重要な役割を果たし続けるだろう。
決算発表シーズンがまもなく始まるため、関税の状況が企業の見通しをどのように変えるかについてのCEOのコメントに注目が集まるだろう。特に、イーロン・マスク氏が率いるテスラは、ビットコインをバランスシート上に保有しており、22日の市場取引終了後に決算報告を行う予定である。同社の決算報告は、貿易戦争の不確実性をトレーダーがどのように評価すべきか、そのヒントとなる可能性がある。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Strategy, Coinbase, Miners Among Crypto Stocks Rallying as Bitcoin Surges Above $90K