ビットコイン、9万3000ドルを突破──対中トランプ関税楽観論が暗号資産上昇を後押し

米中貿易関係をめぐる楽観的な見方が広がる中、ビットコイン（BTC）は4月22日午後、9万3000ドルを超える急騰を見せ、広範な暗号資産（仮想通貨）市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Indexは過去24時間で7％上昇した。
トランプ米大統領は、米国の対中関税を現在の145％から「大幅に引き下げる」と述べた。スコット・ベッセント米財務長官は非公開のイベントで、米中間の関税の対立は「持続不可能」であると述べ、緊張緩和への期待を表明した。
クリプトクオンツ（CryptoQuant）のレポートによると、22日の上昇にもかかわらず、オンチェーンデータは根本的な市場の脆弱性を示唆し、ビットコインは抵抗に直面している。

ビットコインは4月22日午後、投資家の楽観論が再燃し、米中貿易摩擦の雪解けが期待される中、7％近く上昇し、9万3000ドルを突破した。しかし、更なる上昇に歯止めをかけるような逆風が続いている、と分析会社ノクリプトクオンツは警告している。

ベッセント米財務長官は22日午前、JPモルガンの非公開イベントで投資家に対し、中国との関税の対立は持続不可能であると語ったと報じられた。市場はこの発言を好感した。

ベッセント氏は、現在の状況を「貿易封鎖」と表現し、「ごく近い将来」に緊張緩和が実現するだろうと述べた。しかし、両国間のより包括的な取り決めには数年かかる可能性もあると警告した。

トランプ氏は午後、ホワイトハウスで記者団に対し、米国の対中関税を現在の145％から「大幅に引き下げる」と述べ、貿易戦争が激化する懸念を和らげた。

また、パウエル米連邦準備制度理事会（FRB）議長に対する最近の金利引き下げ圧力に関し、パウエル氏を解任する意向はないと付け加えた。

時価総額最大の暗号資産であるビットコインは、トランプ氏の発言を受けて9万3400ドルに迫る勢いで上昇し、3月上旬以来の高値をつけた。

アルトコインもそれに続いて上昇し、イーサリアム（ETH）は1700ドルを超えて過去24時間で8%上昇。ドージコイン（DOGE）とスイ（SUI）はそれぞれ、8.6%と11.7%上昇した。広範な暗号資産市場のベンチマークであるCoinDesk 20 Indexは5.2%上昇した。

4月21〜22日のCoinDesk 20 Index構成トークンのパフォーマンス（CoinDesk）

株価は前日の下落から回復し、S&P500は2.5％高、ハイテク株比率の高いナスダックも2.7％高で取引を終えた。一方、金は日中、過去最高値の3500ドルから急反転し、1％下落した。

ヘッジファンドQCPキャピタル（QCP Capital）のアナリストらは、「資本がセーフヘイブン（安全な避難先）資産とインフレヘッジ資産に移動する中、ビットコインと金が米ドルリスクからの逃避の主要な受益者であることが証明されている」と述べた。

QCPキャピタルのアナリストらは、米国に上場しているビットコイン現物ETF（上場投資信託）への資金流入の回復と、いわゆるコインベースプレミアム（ビットコインのコインベースでのドル建て価格と、バイナンスでのテザー建て価格の差で、この数字が大きいと米国の投資家からの強い買いを示唆）の復活を強調し、米国の機関投資家の需要を示唆した。

ファーサイド・インベスターズ（Farside Investors）のデータによると、ビットコインETFは17日の1億700万ドル（約152億円、1ドル＝142円換算）に加え、21日に3億8100万ドル以上の純流入を記録した。