カルダノとイーサリアムが市場を牽引──ビットコインは株式からの乖離が進む

- カルダノとイーサリアムが14%以上急騰した。これはビットコインが9万3500ドルを突破したことに加え、関税引き下げへの楽観的な見方が背景にある。
- トランプ大統領は中国に対する関税の大幅引き下げを発表し、市場に一時的な安堵感をもたらした一方、政策の一貫性への懸念が高まった。
- ビットコインはアメリカの株式市場に比べて相対的に高い回復力を示し、価値の貯蔵手段としての地位を強化し、伝統的な市場との連動性から離脱する可能性が浮上している。
カルダノ(ADA)とイーサリアム(ETH)は過去24時間で14%以上急騰し、主要暗号資産(仮想通貨)の上昇を牽引した。これはビットコイン(BTC)は4月22日夜に9万3500ドルを突破したことと、関税戦争への穏健な対応への期待が再び高まったことが背景にある。
BTCは6.5%上昇し、ソラナ(SOL)、エックス・アール・ピー(XRP)、バイナンスコイン(BNB)もそれぞれ8%上昇した。主要なミームコインであるドージコイン(DOGE)と柴犬コイン(SHIB)は11%以上、スイ(SUI)は30%上昇し、中型銘柄の上昇を牽引した。
市場全体の時価総額は4.4%増加し、3兆300億ドル(約424兆2000億円、1ドル=140円換算)に達した。CoinDesk20指数(CD20)は5%上昇し、主要な暗号資産の平均上昇率を示した。
この上昇は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が4月22日に中国に対する関税を大幅に削減すると表明し、同時にアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル(Jerome Powell)議長の解任を試みないと述べたことを受けたものだ。
このトーンの変化は投資家に安堵感をもたらしたが、トレーダーたちは、トランプ政権の一貫性と信頼性を維持する能力に対する懸念が高まり、これが最近のゴールド(金)価格と米国債利回りの上昇を後押ししたと指摘した。
「ビットコインの『価値の保存手段』としてのストーリーは、アメリカの株式市場との相関性を上回りつつあるようだ。BTCはトランプ氏の関税やパウエル氏の発言に関連するネガティブとポジティブの両方のニュースで上昇しており、新たな史上最高値に到達する可能性を示している」とLVRGリサーチ(LVRG Research)のディレクター、ニック・ラック(Nick Ruck)氏はテレグラムのメッセージで述べている。
ビットコインの米国株に比べての強靭さは、一部の市場関係者の間で価値の保存手段としてのストーリーをより強固なものにしている。
「ビットコインが長らく続いてきた米国株との相関性を失い、ゴールド価格が史上最高値を更新したこともあり、今後はデジタルゴールドとしてのストーリーに転換する強い可能性がある」とハッシュキー・キャピタル(HashKey Capital)のLiquid Fund and Researchのパートナーであるジュピター・ジェン(Jupiter Zheng)氏はメールで述べている。「我々は、投資家がBTCを長期的な価値の保存手段として評価するとの見方を維持している」。
一部の市場ウォッチャーは、ゴールドの上昇とビットコインの米国株からの乖離がアジア取引時間の朝に集中しているようだと指摘している。
「データによれば、ゴールドはアジア時間にその大半の上昇を記録しており、中央銀行や公的資金が米ドルから他の安全資産へとシフトしている可能性を示唆している」とシグナルプラス(SignalPlus)のインサイト担当責任者であるオーガスティン・ファン(Augustine Fan)氏は述べた。「米ドルからの乖離はこれまでの局面よりも顕著であるように見受けられる」。
「アメリカからの乖離がもたらす可能性のある影響の一つは、BTCの長期的な強気シナリオ、すなわち価値の保存手段としての再評価だ。過去1年間、BTCはレバレッジの効いたナスダックの代替資産と批判されてきたが、ついに株式市場からの乖離の兆しを見せ始めている』とファン氏は述べている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:Cardano’s ADA, Ether Lead Market Gains as Bitcoin ‘Decoupling’ Continues