暗号資産ミキシング悪用のマネロン、警察が資金ルート特定し逮捕:報道

警視庁捜査2課は4月22日、職業不詳の3人を詐欺容疑で逮捕したと発表した。架空のサイト利用料金を請求し、現金をだまし取った疑い。
報道によると、容疑者は匿名・流動型犯罪グループ「トクリュウ」が関与する特殊詐欺や強盗など、様々な犯罪の資金洗浄を担う「金庫番」だった疑いが強いとされる。この資金洗浄に暗号資産(仮想通貨)が悪用された。
暗号資産は通常、ブロックチェーン上に取引履歴が残るため追跡が可能だ。しかし、今回の事件では、複数のルートからの暗号資産記録を混ぜ合わせて再分配し、出所を分かりにくくする「ミキシング」という手法が用いられたという。
こうしたミキシングを用いた資金の隠匿は、他の大規模な暗号資産関連のサイバー犯罪でも課題となっている。
CoinDesk JAPANも報じているとおり、暗号資産取引所バイビット(Bybit)が北朝鮮関連とされるラザルス・グループから受けたハッキング被害(約14億ドル相当)においても、盗まれた資金の一部が追跡不能になっている。
同取引所ベン・チョウ(Ben Zhou)CEOは、盗まれた資金の約28%にあたる3億8000万ドル相当が、ミキサーサービスなどを通じて追跡困難になったと述べた。
日経新聞などによると、今回のトクリュウ関連事件の捜査では、警察庁サイバー特別捜査部のノウハウと警視庁各部署の知見が活用され、犯罪収益が経由した暗号資産口座が一つずつ追跡された。その結果、ミキシングによる隠匿工作も解読され、資金が流れたルートの把握に至ったとされる。
本件において、一連のスキームで現金化された額は、多い時期には3カ月間で約11億円に上ったという。同紙は、暗号資産の資金洗浄を解明した捜査は国内では異例のことと伝えている。
|文:栃山直樹
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