ビットコインは資金の流入が不足する中で下落を続け、長期的な将来性についての疑問が沸き上がっている。
ビットコイン市場は成熟するのか?
一部のアナリストは、ビットコイン市場が成熟するのはまだ先と考えている。そこでは従来的な市場で見られるような、平準化したボラティリティと流動性が重要な要素となる。一方、ビットコインのアルゴリズムに内在する希少性は、今も将来も、ビットコインの価値の主要な要素と示唆するアナリストもいる。
仮想通貨アナリスト、アレックス・クルーガー(Alex Kruger)氏が行った調査によると、回答者の大半は、ビットコインは「最終的に」成熟し、幅広い価格レンジに落ち着き、実質的に従来的なコモディティ市場に似てくると考えている。
さらに自身の見解を理解してもらうために、クルーガー氏は「実質的に、ある価格レンジに落ち着くとしても、大半のコモディティがそうであるように、インフレのために名目上は依然としてある傾向を見せる」と述べた。
しかしそのタイミングは常に疑問であり、ビットコイン市場が10年目を迎える中で定められた価格レンジに「落ち着く」という成熟レベルからは程遠いだろう。
仮想通貨アナリストでトレーダーのウィリー・ウー(Willy Woo)氏は、ビットコイン価格が上限を見つけるにはまだもう少し時間がかかると述べた。
「時価総額は10兆ドル(約1090兆円)から100兆ドル(約1京900兆円)が妥当なところだろう」とウー氏は述べた。
仮想通貨データ・プロバイダーのメッサーリ(Messari)によると、流通中のビットコインの合計数にスポット価格をかけたビットコインの時価総額は、2019年6月27日に記録した年間ピークの2330億ドル(約25兆5000億円)から下落して、現在は2044億ドル(約22兆3700億円)となっている。
大口投資家「クジラ」の影響は?
クルーガー氏は、ボラティリティはおそらく今の業界の資本不足によるものだろうと述べた。時価総額が増えるにつれ、「クジラ」と呼ばれる大口投資家がビットコインにもたらす影響は、価格の変動においては、より小さなものになるだろう。
ボラティリティは、仮想通貨取引の最も魅力的な側面である傾向があるため、これは個人投資家にとっては厳しい事実だ。
だが機関投資家にとっては、歓迎すべき変化だろう。
パブリック・ブロックチェーンに特化したベンチャーキャピタル、キャッスル・アイランド・ベンチャーズ(Castle Island Ventures)のパートナー、ニック・カーター(Nic Carter)氏は、ビットコインは他のどの資産クラスよりもコモディティに類似していると述べた。だが、ボラティリティがすぐになくなることはないとも語った。
「需要ショックに対する供給の反応不足は、当面の間、ボラティリティがそのままである可能性を明確にしたようなものだ」
半減期の影響は?
新しいブロックのマイニングに対する報酬が半分になる、つまりマイナーがトランザクションを承認することに対して報酬として受け取るビットコインが半分になるビットコインの半減期は、2020年5月14日に予定されている。
マクロ経済において、ダイヤモンド、石油、ゴールドが投機的投資家の需要と供給に基づいて機能することと同じように、希少性は資産の価値を高める根本的な推進力となる傾向がある。
デジタル資産向け金融サービス企業BCBグループ(BCB Group)のCEO、オリバー・フォン・ランズバーグサディ(Oliver von Landsberg-Sadie)氏は、希少性は価格を高く押し上げ続けるというクルーガー氏の2番目のシナリオは永遠に続く可能性が高いと述べた。
同氏はまた、国際的な仮想通貨の普及は、主流となるには程遠いが、価格に関わらず、市場は前進を続けると述べた。
「確立されたブランドの国際的な普及は、着実に、目的を持って広がっていると自信を持って言うことができる」
ビットコイン市場のサイクルがどこまで進んでいるのかはまだ見極められない。だが、伝統的な経済学が正しければ、ビットコインは極めて近い将来、高い価値となる可能性がある。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:What the Crypto Markets Are Saying About the Future of Bitcoin