デジタル通貨は、いずれ現金が使われなくなっても、人々が中央銀行が発行する通貨を使い続けることを保証し得る。欧州中央銀行の幹部は述べた。
ヨーロッパはデジタル通貨に前向き?
欧州中央銀行(European Central Bank:ECB)とベルギー国立銀行が共同で開催したカンファレンスで、まもなく欧州中央銀行専務理事を退任するブノワ・クーレ(Benoît Cœuré)氏は、同行はデジタル通貨が既存の金融システムにもたらす潜在的影響を検討すると述べた。
「このようなデジタル通貨はさまざまな形態をとることができ、欧州中央銀行やその他の中央銀行は、金融仲介に対する広範な影響を意識しながら、そのメリットとコストを現在調査中だ」とクーレ氏は述べた。
しかしクーレ氏は、この分野で独自の取り組みを続けるよう、民間企業に促した。
「しかし、潜在的な中央銀行の構想は、ユーロ圏における速く、効率的な小売り決済のための民間市場主導のソリューションを妨げたり、締め出したりするべきではない」
この発言は、11月にクーレ氏が新しく設立された国際決済銀行のイノベーション・ハブのトップに任命された直後に行われた。
2020年1月1日以降、クーレ氏は、デジタル通貨などの金融テクノロジーのメリットを中央銀行が検討することをサポートするための国際決済銀行の取り組みを指揮する。
過去にはエストニアの提案を却下
最近、ヨーロッパ各国の中央銀行は全般的に仮想通貨に関して発言を続けている。
フランスの中央銀行のデニス・ボー(Denis Beau)副総裁は先週、ユーロ圏の組織間での決済の問題を解決するために、ユーロ圏の国々はユーロおよび将来想定されるデジタル通貨向けのブロックチェーン・ベースの決済システムの構築を検討すると述べた。
しかし欧州中央銀行は2017年9月、エストニアによる仮想通貨の提案を却下し、ユーロがヨーロッパで唯一の有効な通貨であることを強調した。
欧州中央銀行の高官もまた過去に、ビットコインのようなデジタル通貨を脅威とは考えておらず、仮想通貨は金融の安定に対して脅威とならないと述べた。
これと同様にクーレ氏は、欧州中央銀行は仮想通貨の発展を「無視」しているわけではないが、同行にとって単にリスクとは考えていないと述べた。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:European Central Bank / Source: Shutterstock
原文:ECB Official Says Digital Currency Could Be an Alternative to Cash