ドイツの銀行、2020年から仮想通貨の販売・カストディが可能に:報道

来年からドイツの銀行は、新しい法律のもとで仮想通貨の販売と保管が認められるようになる。

仮想通貨天国への道

これまで、銀行は仮想通貨資産に直接アクセスすることは禁止されていた。だが、第4次EUマネーロンダリング指令を施行する新法によって、状況は変わる可能性がある。現地の経済紙ハンデルスブラット(Handselblatt)が11月27日(現地時間)に伝えた

同法案はすでにドイツ連邦議会を通過しており、連邦の16州が署名する見通しだ。

報道によると、法案は当初の計画よりも進んでいる。当初は銀行が仮想通貨カストディアンとして機能することは認められておらず、外部のカストディアンや専用の子会社に依存することになっていた。

コンサルティング企業DLCのトップ、スベン・ヒルデブラント(Sven Hildebrandt)氏はこのニュースを歓迎し、ハンデルスブラット紙に次のように語った。

「ドイツは仮想通貨天国への道を順調に進んでいる。ドイツ議会は(仮想通貨資産の)規制で先駆的な役割を果たしている」

消費者保護への懸念も

ドイツ銀行協会「BdB」もこの法案に前向きだった。

「信用ある機関は、顧客資産の保管とリスク管理の経験を有し、投資家保護にコミットし、常に金融監督機関によるコントロールを受けてきた」と同協会は述べた。従って、銀行は仮想通貨資産を使った「マネーロンダリングとテロ資金供与を効果的に防止」することができる。

BdBによると、今回の法案によって、投資家はドイツに拠点を置くファンドを介して仮想通貨に投資することが可能になり、海外に資金を置くことを強いられることはなくなる。

だが一部の評論家は、新しい法律から生じる消費者保護への脅威の認識について懸念を表明した。

バーデン・ビュルテンベルク(Baden-Wuerttemberg)州にある消費者センターの金融専門家ニールス・ナウハウザー(Niels Nauhauser)氏はハンデルスブラット紙に次のように語った。

「もし(銀行に)仮想通貨を販売し、手数料を取って保管することが許されれば、顧客に資産の全損のリスクを負わせるリスクを冒すことになる。顧客は銀行が何をしようとしているのか知ることはない」

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸
写真:Bundestag image via Shutterstock
原文:German Banks Allowed to Sell and Custody Crypto Assets From 2020: Report