スリランカ中央銀行は、ブロックチェーン・ベースのKYC(顧客確認)プラットフォームの開発を望んでいる。
概念実証(PoC)の提案を公募
11月29日(現地時間)にウェブサイトに掲載された公募で、スリランカ中央銀行は、同行は銀行業界向けの共有KYCシステムの「概念実証(Proof of Concept : PoC)」を構築できるテック企業を求めていると発表した。
「デジタル化された金融サービスに対する需要の高まりは、スリランカに金融セクターをさらに発展させるためにブロックチェーン・テクノロジーを取り入れる可能性を評価する機会を創出した」と同行の応募案内は記した。
このプロジェクトにはスリランカのテック・ファイナンスとテック業界からの「専門家」が関与しており、スリランカ中央銀行とスリランカのテック業界全体のコラボレーションのようだ。
プレスリリースに記されているように「共有KYC」システムは、商業銀行と中央政府がブロックチェーン上の顧客データを共有し、更新することを可能にする。
「これにより、金融セクターの効率性を高める、複数の潜在的なユースケースの促進が期待される」とリリースは記し、「スリランカの金融包摂の推進を支援する」としている。
FATFの基準をクリア
しかし、リリースではそれ以外の点は詳細が明らかになっていない。スリランカ中央銀行は、選ばれた候補企業にKYCプラットフォームの「ハイレベルな設計」を共有する。候補企業には少なくとも2年の経験と「モバイルアプリケーションの開発とローンチについての裏付けのある実績」が求められる。
今回の公募は、スリランカが国際的な金融規制基準をクリアする動きを進める中で行われた。
10月、スリランカは金融活動作業部会(FATF)のアンチマネーロンダリング/テロ資金対策(AML/CFT)の「戦略的欠陥」ブラックリストから削除され、2017年11月にリストに掲載されて以来、スリランカが防衛力を強化してきたことを示した。
「FATFは、AML/CFLの改善におけるスリランカの著しい進展を歓迎し、スリランカがAML/CFLの実効性を強化してきたことに注目している」と国際的な金融監視機関であるFATFは10月に述べた。
翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸
写真:Sri Lanka festival image via Shutterstock
原文:Sri Lanka’s Central Bank Calls for Blockchain-Based KYC Proposals