米証券取引委員会(SEC)は、サイバー部門の新しい責任者を任命した。
2019年12月2日(現地時間)付のSECの声明によると、8月に民間に移ったロバート・A.・コーエン(Robert A. Cohen)氏の後任として、クリスティーナ・リットマン(Kristina Littman)氏がSECの執行部門(Division of Enforcement)のサイバーユニット(Cyber Unit)の新しい責任者となった。
2010年に専属弁護士としてSECに加わったリットマン氏は、2017年夏に昇進して、ジェイ・クレイトン(Jay Clayton)SEC委員長のシニアアドバイザーとなった。その役職においてリットマン氏は、仮想通貨やデジタル資産に関する規制や政策、そして国際情勢、貿易、市場についてクレイトン委員長に助言を行ってきた、とSECは説明する。
「クリスティーはその革新的な考え方や、SECにおける豊富な経験から、かけがえのないアドバイザーとなり、何よりも、アメリカの投資家をたゆまず守り続けてきました」とクレイトン委員長は述べた。「非常に重要で、絶えず進化するこの分野での取り組みをサイバーユニットが続ける中、素晴らしいリーダーとなるでしょう」
ブロックチェーン・仮想通貨業界の投資家保護
サイバーユニットは2017年、サイバーセキュリティ関連の問題に取り組み、発展途上にあるブロックチェーン・仮想通貨業界の有象無象から投資家を守るために設立された。
前任のロバート・コーエン氏の指揮のもと、サイバーユニットはSECが違法と見なした新規コイン公開(ICO)に対する活動を押し進めた。リットマン氏は、未登録の1億ドル(約109億円)のセキュリティ・オファリングに関与した疑いのあるキック・インターアクティブ(Kik Interactive)に対する訴訟を含め、進行中の重要な仮想通貨関連訴訟を引き継ぐ。テレグラム(Telegram)もまた、同社グラムトークンをめぐるSECからの同様の訴訟で係争中である。
コーエン氏は、コインベース(Coinbase)などの仮想通貨企業や主要金融機関の代理人を務めた企業法事務所デイビス・ポルク&ワードウェル(Davis Polk & Wardwell LLP)のパートナー職に転じるため、SECを去った。
リットマン氏はラトガース大学(Rutgers University)のロースクールで法務博士とMBAを取得し、SEC以前には企業および証券関連訴訟を専門にする弁護士事務所で活躍していた。
「捜査官、法廷弁護士、シニアアドバイザー」としての多種多様な経験を持つリットマン氏が「サイバーユニットを指揮する準備は万端」と執行部門の共同ディレクター、スティーブン・ペイキン(Steven Peikin)氏は語った。
翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:Shutterstock
原文:The SEC Has a New Chief Crypto Cop