ここ数カ月のライトコイン(LTC)価格の下落は、ライトコイン・マイニングの収益性を少しずつ減らしている。ビットコイン(BTC)より速く、安いが、やや安全性に欠けると見られていたライトコインのネットワーク・オペレーター数の減少を招いている。
ライトコイン価格は下落
ビットコイン誕生のわずか2年後、2011年に生まれたライトコインの価格は6月に記録した約140ドル(約1万5000円)の高値から、約45ドル(約4900円)まで下落している。
そしてネットワークにもともと組み込まれた設計のもと、8月5日(現地時間)、新しいデータ・ブロックのマイニングに対する報酬は50%削減された。半減期と呼ばれる4年ごとのイベントだ。
f2プール(f2pool)によると、さまざまな要素が原因となって人気のイノシリコン(Innosilicon)A6+コンピューターを使ったライトコイン・マイニングの収益は、6月半ばの2.65ドル/24時間から、1.68ドル/24時間へと下落した(電力料金は標準的なものと仮定した)。
メーカーのウェブサイトに3000ドルと表示されているマシンにとってはわずかな利益だ。
撤退する小規模マイナー
さらに古く、パワーに欠けるアントマイナー(Antminer)L3コンピューターを使っているマイナーは現在、1日にわずか6〜7セントの取るに足りない収益しかあげられていないと、f2プールのマイニング収益性計算機は示した。
そのため、多くの小規模なライトコイン・マイナーは現在、シンプルにネットワークからの撤退を選択している。これはネットワークのハッシュレート(すべてのオペレーターの演算処理能力の合計)が7月以来、70%以上も減少していることが実証している。11月30日、ライトコインのハッシュレートはここ1年で最低の149.6テラハッシュ/秒となった。
「もしマイナーが非効率な装置を運用しているなら、その装置を廃棄する可能性は高い」とニューヨークに拠点を置く仮想通貨分析企業デジタル・アセット・リサーチ(Digital Asset Research)の共同創業者グレッグ・シポラロ(Greg Cipolaro)氏は述べた。
「ハッシュレートは価格に追随する。その逆ではない」
電力料金も大きな要素
ライトコイン市場の新しい動向は、さまざまなインセンティブを利用して、トランザクションの承認と記録をコンピューターのネットワークに依存している、急成長する仮想通貨とブロックチェーン業界の新しい経済における教訓を示している。
マイニングに必要な主な要素には、コンピューターのスピードと効率性、電力料金、そして周囲の温度さえも含まれる。そのためマイニングには冷涼な気候が理想とされている。1年中24時間休みなく稼働しているコンピューター用に冷却ファンを動かすために必要な電力が少なくて済むためだ。
ライトコイン・ネットワーク上の多くのオペレーターは、L3マシーンを利用しており、最近の市場の動きは「マシンを停止する価格を試した」とビットコインに特化した資産運用・取引プラットフォームのRRマイン(RRMine)のスティーブ・ツォウ(Steve Tsou)CEOはリンクトイン(LinkedIn)のメッセージで述べた。
中国のマイナーの一部は、水力発電による安価な電力供給に依存していた地域の雨季が収束に向かい、電力料金が上がったため、最近、市場から撤退した可能性があるとツォウ氏は述べた。
マイニング難易度を自動調整するライトコイン
ライトコイン・プロトコルでは、ハッシュレートが下がるとマイニングは自動的により簡単になるよう調整される。このメカニズムは、急激な価格下落あるいは報酬の削減の後にオペレーターを引き戻す目的で作られた。
それが今、起こっていることだ。ライトコインのマイニング難易度──ブロック生成時間を約2.5分に維持するために、2016ブロックごと、つまり約4日ごとに測定される──は現在、ここ1年で最も低くなっている。
デジタル・アセット・データ(Digital Assets Data)のライアン・アルフレッド(Ryan Alfred)社長によると、新しいブロックをマイニングすることに対する報酬はカットされたにも関わらず、市場にまだ残っているオペレーターにとっては新しいブロックのマイニングはより簡単になっており、利益への影響を緩和することができる。
価格の回復、そして新しいブロックのマイニング難易度のさらなる低下はマイナーを市場に呼び戻すことができるかもしれないとアルフレッド氏は述べた。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Image from rawpixel.com / Carol M Highsmith
原文:Litecoin’s Mining Power Tanks to Lowest in Year Following Price Plunge