MUFG、野村、SBI出資のデジタル証券、米セキュリタイズが日本進出へ──ビルド完全子会社化【追記】

デジタル証券発行プラットフォームの米セキュリタイズが、日本のブロックチェーン企業ビルド(BUIDL)を完全子会社化して、日本でデジタル証券事業を推進することが12月6日、分かった。ビルドの代表取締役CEO(最高経営責任者)は、セキュリタイズのCEOカルロス・ドミンゴ氏が兼任する。

両者は包括的資本提携契約を完了させた。当局の承認など必要な手続きを12月末までに完了させる見込み。同社代表取締役だった長谷川潤氏は、グローバル・ブレインの百合本安彦代表取締役社長とともに同社の取締役になるという。

来春の改正金商法施行を前に業界内の動きが加速化

ブロックチェーン技術を基盤としたデジタル証券(セキュリティ・トークン)は2020年春に改正金融商品取引法が施行されるのを前に、国内の金融機関で動きが広がっている。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)はデジタル証券の発行流通基盤である「プログマ」をつくる。野村ホールディングスは野村総合研究所との合弁会社「ブーストリー」を通じて、デジタル証券の流通基盤である「ibet」を発表している。

デジタル証券発行プラットフォームのセキュリタイズには、MUFG、野村ホールディングス、SBIホールディングス、KDDIなどが出資している。

ビルドは、グローバル・ブレインとOmise創業者の長谷川潤氏が株式の50%ずつを出資して2018年に設立された。ブロックチェーン上のアドレスを追跡して、マネーロンダリング対策をするツール「SHIEDL」を開発している。

「日本でのデジタル証券の普及をリードしていきたい 」

ビルドのバイスプレジデント宇野雅晴氏は、CoinDesk Japanの取材に対し、「ブロックチェーンは金融分野での適用が進んでいくと考えている。セキュリタイズはデジタル証券を発行した実績が多くあり、国内の金融機関との関係性も強固だ。日本でのデジタル証券の普及をリードしていきたい 」と述べた。

グローバル・ブレインの佐野尚志氏は「この数ヶ月で話がまとまった」と明かした。「グローバル・ブレインは、採用などバックオフィス全般をサポートしていく」。

ビルド取締役の長谷川氏は「必要なコンポーネントはセキュリタイズに揃っている。実行部隊として、デジタル証券のマーケットを作っていきたい」

セキュリタイズのカルロス氏は、「セキュリタイズは技術プラットフォームを提供する。日本にはさまざまな出資者がいるため、そのシナジーを生かしていく。アンチマネロンツールとして、日本ではビルドのSHIEDLを使っていくつもりだ」と述べた。

文・写真:小西雄志
編集:濱田 優
(編集部より:記事中の日本語の社名に誤りがありました。訂正・追記して更新いたします)