積極攻勢を続けるスイス・スタートアップ──機関投資家に続き、個人投資家向け仮想通貨ETPも拡大

スイスの金融スタートアップ「アムン(Amun)」はスウェーデン金融監督庁から承認を受け、EUの個人投資家向けに対して、仮想通貨ベースの金融商品の提供を拡大していく。

ヨーロッパのほぼすべての個人投資家がターゲット

同社は12月10日(現地時間)、EU加盟国であるスウェーデン金融監督庁(Swedish Financial Supervisory Authority:SFSA)が同社の提出した基本趣意書を承認したと声明で述べた。

これによって、スイス証券取引所(SIX)やドイツのベールゼ・シュトゥットガルト(Boerse Stuttgart)取引所で取引しているEUの個人投資家は、アムンの提供するさまざまな仮想通貨ベースの上場取引型金融商品(ETP)を取引できるようになった。

EU証券法のもとでは、各加盟国は「シングルパスポート」ルールによってEU全体に適用されるライセンスを評価、発行できる。スウェーデンの金融規制当局の承認によって、アムンにはより大きなヨーロッパの個人投資家市場への扉が開かれた。

「(承認によって)我々は広く、ヨーロッパのほぼすべての個人投資家に直接宣伝、販売することができる」とアムンのハニー・ラシュワン(Hany Rashwan)CEOはCoinDeskに語った。

上場する取引所も拡大

SFSAによる承認はまた、市場へのアクセスを拡大しようとする取り組みの中、EU内の他の取引所に仮想通貨ETPを上場する申請を行おうとしているアムンの計画に青信号を灯した。

他の取引所での上場は、2020年にEUから承認される見込みとラシュワンCEOは述べた。だが商品の上場は、個々の取引所からの認可を得る必要がある。それでもラシュワンCEOによると、アムンは2020年に向けてヨーロッパ最大級の3つの取引所を狙っている。

アムンは現在、ドイツのベールゼ・シュトゥットガルト取引所に7商品、スイス証券取引所に10商品を上場しており、そのすべてが仮想通貨ベースのETPで、運用資産の合計額は約5500万ドル(約60億円)にのぼる。

最近では11月、スイス証券取引所にデジタル資産銀行シグナム(Sygnum)と共同で「MOON」というティッカーシンボルのETPと、テゾス(XTZ)に連動したETPを上場した。

「我々のミッションは明確で、当社の仮想通貨ETPを通じて、投資家がより安全に、より高い費用対効果で、簡単に仮想通貨資産クラスに投資できるよう支援すること」とアムンのオフィーリア・シンダー(Ophelia Synder)社長は声明で述べた。

「4カ月の審議期間でこのプロセスを完了でき、我々は非常に幸運だ」

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
原文:Swiss Startup Amun Wins Regulatory Approval to Sell Crypto-ETPs to EU Retailers