この1週間に起きた仮想通貨(暗号資産)・ブロックチェーン分野のニュースを振り返ろう。12月6日(金)-12月13日(金)には、デジタル人民元のテストが年末にも開始される見込みであることや、中国銀行が3000億円分の債券をブロックチェーンで発行するといったニュースが報じられた。
12月6日──中国銀行、3000億円分の債券をブロックチェーンで発行
中国の4大商業銀行の1つである中国銀行が、ブロックチェーン上で200億人民元(約3000億円)分の債券を発行した。同行が12月6日、債券の価格設定と発行を完了させたと発表した。
12月7日──公取委が「銀行間送金の実態を調査」と報道
個人や法人の銀行間送金について、公正取引委員会が実態調査を始めたと日本経済新聞が12月7日に報じた。公取委が主に調べるのは「全銀システムへの接続状況と送金手数料の決め方について」だと、記事は指摘している。
12月9日──デジタル人民元、年末にもテストか。JPモルガンの銀行間情報ネットワーク、日本で1月にも開始へなど。
デジタル人民元、深セン市と蘇州市で年末にテスト開始か:報道
中国の中央銀行「中国人民銀行」は、年末にも深セン市と蘇州市でデジタル人民元のテストを開始する見込みだ。12月9日に中国の金融メディア「財経」が伝えた。参加するのは、「4大」商業銀行(中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行)と通信事業者3社(中国電信、中国移動通信、中国聯合通信)という。第1段階は2019年の年末に開始され、第2段階は深センで2020年後半に行われるという。
JPモルガンが銀行間情報ネットワーク(IIN)を日本で拡大と報道
米金融大手JPモルガン・チェースが、ブロックチェーンを基盤とした銀行間情報ネットワーク(IIN)を20年1月にも日本で開始することを目指すという。80を超える日本の銀行がIINへの参加に興味を示しているという。JPモルガン・チェース銀行東京支店の真井大三郎金融営業法人部長が、12月9日付けのブルームバーグによる報道で語った。
中国の国家ブロックチェーン・コンソーシアム、テンセントのウィーバンクがインフラ提供へ
小規模企業や個人向けローンを扱うデジタル銀行ウィーバンク(WeBank)が、中国の国家ブロックチェーンネットワーク向けに技術インフラを提供する初の企業となった。中国国営メディアの9日付けの報道によれば、ブロックチェーンベース・サービス・ネットワーク(Blockchain-Based Service Network:BSN)に、特許取得済みの自社コンソーシアムチェーンFISCO BCOSを提供する。同社の最大株主は30%を保有するテンセント。
12月10日──スペイン大手銀、イーサリアム上で発行した債券を償還
スペインの大手銀行「サンタンデール銀行」が、パブリック・イーサリアム・ブロックチェーンで発行した2000万ドル(約22億円)相当の債券を償還した。担当者は「ブロックチェーンで、ライフサイクル全体を通じて債券の管理が可能であることを明白に証明している」と述べた。
12月11日──オランダのING銀行、暗号資産カストディ技術を開発中:報道
オランダの大手金融機関INGグループが仮想通貨カストディ(保管)技術を開発していると、ロイター通信が報じた。INGグループは「資産に裏づけられたデジタル資産とネイティブ・セキュリティトークンの双方について、チャンスが大きくなっている」としている。
文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:Shutterstock