中国の巨大テクノロジー企業に端を発し、インド、シンガポール、インドネシアのテック企業は過去10年間にわたり急ピッチで新しい金融サービスを展開してきています。
リープフロッグ型の経済成長を進めるアジアでは、スマートフォンの普及とともに、中国のアリババとテンセント、シンガポールのGrab、インドネシアのGo-Jek、インドのPaytmは、デジタルの世界でその事業規模と企業価値を爆発的に拡大させてきました。
また、フィンテックは金融とテクノロジーの垣根をなくし、日本を含む世界の金融界では、多くの伝統的な銀行が生き残りを賭けた戦略の立案に奔走しています。米国の大手銀行は一方で、年間1兆円を超える資金を次世代のテクノロジーに積極投資し、自らをバンク・テック企業にトランスフォームしようとしています。
マッキンゼーが10月に発表した報告書は、宿泊、旅行、出版業界では既存のプレイヤーたちがディスラプト(破壊)されてきたように、銀行業には今、ディスラプションの波が押し寄せ、従来の金融機関は迅速な行動が求められていると述べています。
2008年の世界金融危機とほぼ同時に、ビットコインはその産声をあげました。あれから10年の間、「インターネットの次のゲームチェンジャー」と称されるブロックチェーンは、その開発スピードをさらに速めてきました。
2019年、フェイスブックが主導するデジタル通貨「リブラ(Libra)」構想が明らかになると、中国はデジタル人民元の導入とブロックチェーンの開発にアクセルを踏み込んでいくと発表。
日本、欧州、米国の金融界では、大手金融機関がベンチャー企業と連携しながら、債券や株式、不動産などの証券をデジタル化し、その発行と流通を行う新たなプラットフォームを作ろうとする動きが活発化しました。
アジアの金融・産業・経済のランドスケープは2020年以降、大きく変化することが予想されます。CoinDesk Japanは、ブロックチェーンと暗号資産を軸に置きながら、テクノロジーが作り上げる新しい金融・産業・経済の形と、その変革を進めるフロントランナー(企業・人)にフォーカスしたニュースメディアを作り上げていきます。
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文:CoinDesk Japan編集部