マイニング機器大手マイクロBTの創業者、逮捕──160万円横領の疑い、ライバル企業が関与か

深センに拠点を置くビットコイン・マイニング機器メーカー、マイクロBTの創業者兼CEOのヤン・ズオシン(Yang Zuoxing)氏が約1万5000ドル(約160万円)の横領の疑いで逮捕された。

逮捕は、深セン市南山地区の検察官が12月12日(現地時間)に発表し、ビジネス系メディアの財新(Caixin)が15日に伝えた。マイニング大手ビットメイン(Bitmain)とマイクロBTの競争が続く中での出来事だ。今年、マイクロBTはビットメインが支配している市場に戦いを挑んでいた。

検察官は12日、横領の容疑でYang *Xingという名前(一部は編集されていた)の容疑者の逮捕を最近承認し、事件はまだ進行中とウェブサイトで発表した。

財新は事件に詳しい人物の発言を引用し、逮捕された人物はマイクロBTの創業者兼CEOと伝えた。マイクロBTはマーケットシェア40%のビットコイン・マイニング機器「ワッツマイナー(WhatsMiner)」のメーカー。横領したとされる金額は10万元(約160万円)と財新は報じた。

今回の逮捕は、知的財産権をめぐる紛争に関して捜査協力のために、ヤン氏が地元警察に連行されたとする11月初旬の報道に続くものだが、11月は必ずしも逮捕されたとは限らない可能性がある。

また今回の逮捕は、2019年を通じてビットメインの市場独占に陰りが見え、マイクロBTがビットコイン・マイニング機器ビジネスでシェアをかなり伸ばしている時期とも重なった。

注目は、ビットメインの共同創業者ジハン・ウー(Jihan Wu)氏が、ライバルである共同創業者兼会長のミクリー・ザン(Micree Zhan)氏を追い出して会社のコントロールを取り戻した後に、ヤン氏が警察に連れて行かれたことだ。

検察官は容疑の横領が、マイクロBT、あるいは以前務めていたビットメインに関連するものかどうかは明らかにしなかったが、報道は、ヤン氏に対する民事裁判に失敗したビットメインが、取引機密違反の罪で北京の警察にヤン氏を通報し、刑事裁判へと発展させた動きに続くものと報じた。

マイクロBTとビットメインは本件についてのコメントを拒否した。

ヤン氏は、北京を拠点とするビットメイン(Bitmain)でマイニングチップ設計ディレクターを務め、2016年頃には主力商品のアントマイナー(AntMiner)S7およびS9の開発責任者だった。ビットメインは2017年および2018年上半期にこれらのモデルの販売で、それぞれ10億ドル(約1100億円)の利益をあげた。

ヤン氏は、ビットメインの共同創業者との同社の株式に関する交渉が決裂した後にビットメインを去り、マイクロBTを立ち上げた。ビットメインは2017年、ビットコイン・マイニング機器に関する特許を侵害したとして、ヤン氏とマイクロBTを相手に民事訴訟を起こした。

2018年10月、ヤン氏側は中国の知的財産権裁判所に控訴し、ビットメインの特許を無効にすることに成功、民事訴訟は棄却された。

マイクロBTは先週、1秒あたり88テラハッシュの計算能力を誇る最新のワッツマイナーM30を発表した。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Yang Zuoxing image courtesy to Poolin
原文:Bitmain Rival MicroBT’s Founder Arrested in China for Alleged Embezzlement