公務員、退職者、軍人などのベネズエラ人は、国の仮想通貨決済プラットフォームに登録すれば、今年のクリスマスにペトロトークンを受け取ることができる。
政府公式ウォレットに登録
ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は12月13日(現地時間)、公務員、退職者、軍人は今週、ホリデーシーズンのボーナスとして、0.5ペトロ(30ドル、約3300円相当とされる)をエアドロップで受け取ると発表した。地元メディア、エル・ユニバーサル(El Universal)が伝えた。
エアドロップを受けるには、まず、5月にローンチした政府公式の仮想通貨ウォレット「ペトロアップ(PetroApp)」にサインアップする必要がある。石油に裏付けられた仮想通貨ペトロ(Petro)をサポートする唯一のプラットフォームであるペトロアップは、ユーザーが電話からモノやサービスを購入したり、送金ができるよう設計されている。
ペトロアップはまた、他の仮想通貨との交換にも利用できる。つまり、エアドロップされたペトロを、現在サポートされているビットコイン、ライトコイン、ダッシュなどに交換できる。
今回のエアドロップは、2018年10月から利用可能になっているペトロにベネズエラ国民を移行させる新たな機会とマドゥロ大統領は述べた。1カ月あたりの最低賃金が10ドル(約1100円)未満であることを考えると、エアドロップの対象となる国民はアプリ登録を強力に動機づけられるだろう。
また同時にマドゥロ大統領は、50万ペトロ以上が国中の町や地方自治体を支援するために国から支給されると述べた。
ペトロ促進を図る大統領
今回の試みは、ペトロの国家規模での普及を促進するための一連の取り組みの最新事例だ。
9月、マドゥロ大統領は社会福祉住宅政策の将来の資金の支払いをペトロで行うよう指示した。夏には、同国最大級の銀行の一つであるベネズエラ銀行(Bank of Venezuela)に対して、顧客がペトロを利用できるようにすることを要請した。
また使用事例が限られているにも関わらず、政府はここ1年、年金をペトロで支払っていると伝えられた。
ペトロは政府からの強力なサポートを受け、1年以上も流通しているが、ベネズエラ経済において根本的な成長をほとんど遂げていない。
政府のプレスリリースによると、11月時点でペトロを受け付ける企業はわずか400社。同じリリースで、マドゥロ大統領は企業に対して、同国の法定通貨ボリバルと同じくらい幅広く受け入れられるようにするため、ペトロの平等な扱いを始めるよう命じた。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Credit: Nicolas Maduro/Twitter
原文:Venezuela’s Maduro Says He Will Airdrop Half a Petro Each to Public Employees, Retirees