台湾のスマートフォンメーカー「HTC」は今週はじめ、競争力を維持するために従業員を解雇し、ブロックチェーンスマホ「EXODUS」など少数のハイエンド機種により重点を置くと発表した。
現在、約3000人の従業員を抱えるHTCは、レイオフの規模や最も影響を受ける部門について明らかにしていない。台湾英文新聞(Taiwan News)が伝えた。今回のレイオフは、ここ5年で3度目のもの。HTCは2015年に2250人、2018年7月に1500人を解雇した。
HTCは人員削減により、製品のイノベーティブな優位性を維持することが可能になると述べた。VR(バーチャルリアリティ)システムの「VIVE」、ブロックチェーン・スマホ「EXODUS」などはラインナップに残る。
2018年5月に初めて公開されたHTCのEXODUSは分散型ネットワークへの接続が可能で、従来のアプリケーションと同じような方法でユーザーは分散型アプリケーションをダウンロードし、スマートフォン上で実行できる。
さらにEXODUSはハードウエアウォレットを搭載しており、ユーザーは仮想通貨を安全に持ち運ぶことができる。
ウォレット内での仮想通貨スワップ機能(元々はERC-20トークンとの迅速な交換を実現するものだった)が今年前半に追加された。
EXODUSは2018年末に販売が開始され、当初は仮想通貨での購入のみに限られていた。今年10月に公開された最新モデルはビットコインのフルノードを運用することができる。また新しいスペシャル・エディションには、バイナンス・チェーン(Binance Chain)のサポート機能の追加が計画されている。
EXODUSは市販されている唯一のブロックチェーン・スマートフォンではない。
2018年末、シリンラボ(Sirin Labs)もブロックチェーン・スマートフォン「フィニー(Finney)」の出荷を開始した。サムスン(Samsung)は今年前半に、ERC-20、分散型アプリケーション、ビットコインにフル対応したGalaxy S10を発表した。
また、確認は取れていないものの、LGもブロックチェーン・スマートフォンの発売を検討していると報じられている。
サムスンやアップルなどの既存メーカー、またグーグルのような新規参入メーカーも含めたスマートフォン業界の激しい競争が、HTCの市場シェアに打撃を与え、同社にかなりの財政的なプレッシャーをかけたようだ。
台湾の新聞、自由時報(Liberty Times)によると、同社の売上は落ち込みが伝えられ、7月の売上はわずか150万ドル(1億6000万円)だった。
翻訳:石田麻衣子
編集:増田隆幸
写真:HTC
原文:HTC to Increase Focus on Blockchain Phones, AI After New Staff Cuts