ある重要な指標は記録的な高さにとどまり、投資家は大きな赤字を抱えてもビットコインを保有していることを示している。
ブロックチェーン市場情報企業グラスノード(Glassnode)によると、未使用のトランザクションアウトレット(UTXO)の含み損は12月17日(現地時間)、4500万ドル(約49億円)を超えて過去最高を記録した。7月1日の669万ドル(約7億円)から7倍近くとなった。
UTXOとは基本的にトランザクション後の残りのビットコインを表す。高額紙幣を使って支払いをした時にお釣りを受け取ることに少し似ている。
例えば、アリスは10ビットコイン(BTC)を持っていて、3BTCをボブに支払う必要があるとする。アリスはちょうど3BTCを送金し、残りを持っておくことはできない。
トランザクション上は、10BTCを支払い、そのうち3BTCはボブに送られ、残りの7BTCは彼女のアドレスに送り返される。この7BTCがUTXOで、他のトランザクションに使うことができる。
UTXOの含み損とは、トランザクション生成時の価格が現在の価格よりも高かったことを意味する。
デジタル・アセット・データ(Digital Assets Data)の仮想通貨アナリスト、アレックス・ベンフィールド(Alex Benfield)氏によると、6月の1万3800ドル超えの高値から、最近の約6500ドル近くの安値への50%のビットコイン価格の下落の後、UTXOの含み損が過去最高を記録している事実は、投資家が含み損となっているビットコインをホールドしている可能性が高いことを示している。
「誰かがビットコインを購入し、これを書いている現時点で損失を出している可能性があった日は438日あった」と、ベンフィールド氏はCoinDeskにメールで述べた。
「こうした日のうち約半分は2019年で、1年未満の短期保有者を表す。残りの半分は2017年11月3日まで遡り、2年以上経っているので、長期保有者を表す。現在よりも価格が高かったこれらの時期に購入されたビットコインはすべて、UTXOの含み損の要因になっており、仮に保有者がビットコインを手放さないまま価格が下落を続ければ、最高記録を更新し続けるだろう」
一方、デルフィ・デジタル(Delphi Digital)の共同創業者ヤン・リバーマン(Yan Liberman)氏は、UTXOの含み損は長期保有者を表す可能性があり、ビットコインのMVRV(market value to realize value)レシオの方がUTXOの含み損を測る方法として、より優れていると述べた。
MVRVレシオは、市場価値を実現価値で割ることで計算される。市場価値はマイニングされたすべてのコインに現在の価格を当てはめることで導き出される。一方、実現価値は最後に取引された時の価格の合計(つまり、UTXOの合計)を表す。
そのため、MVRVレシオが下がれば、UTXOの含み損が多いことを示すとリバーマン氏はCoinDeskに語った。仮想通貨投資情報サイトのWoobullによると、ビットコインのMVRVレシオは現在1.23、6月には2.38を記録した。
また、長期保有者が売りに出ていないことを示す証拠がある。前述のデルフィ・デジタルによると、市場に出たビットコインで最低12カ月保有されていたビットコインの割合は、2019年の年初は55.6%、4月末は60.8%でピークを迎え、11月末には約59%となった。
さらに、2年以上保有されていたビットコインの割合は、年初は34.6%、11月末には過去最高の40%に達した。
結局のところ、「長期保有(HOLDing)」がUTXOの含み損を過去最高に押し上げたと信じるに値する強い理由がある。
グラスノードによると、トランザクション数の減少もその要因となっているようだ。
上のグラフの通り、オンチェーン・トランザクションの7日間移動平均は、6月末の37万8808から、約30万4000へと減少した。トランザクションが少ないことは、価格下落の間に作られたUTXOが少ないことを意味する。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Mazatlan Diver Sequence. The rocky pool this young man dives into, is said to be rather shallow. Photo by Jennifer Williams from Hayward, U.S.A., via Wikimedia Commons.
原文:Bitcoin ‘UTXOs in Loss’ at Record Highs Amid Price Sell-Off