仮想通貨カストディはOEM提供が主流になる:フィデリティ幹部が予測

フィデリティ・デジタル・アセット・サービス(Fidelity Digital Asset Service:FDAS)は、スーパーマーケットがサードパーティーの商品に自社ブランドを付けるように、仮想通貨カストディアンが裏方として他の企業の顧客のために仮想通貨を保管する未来を思い描いている。

カストディの難しさ

「我々は、各社が独自インフラを構築することはできるが、非常に高くつくと考えている」と、FDASのセールス&マーケティングの責任者、クリスティーン・サンドラー(Christine Sandler)氏は先週、ニューヨークで開催されたヘッジ・ファンド・アソシエーション(Hedge Fund Association)のカンファレンスで語った。

「本当にうまく行うためには、地理的な多様性、元となる技術を理解したスタッフが抱えなければならない」と3月に仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)からFDASに加わったサンドラー氏は指摘した。

そのため、「私は、本当にうまく行うカストディアンは、フィデリティであれ、コインベースであれ、他のカストディアンのサブ・カストディアンとして機能すると考えている」とサンドラー氏は述べた。

「つまり、他の企業とパートナーを組んで、『これを喜んでカストディするから、あなたは顧客エクスペリエンスをお願い』という話」

誤解のないように述べておくと、サンドラー氏は仮定の話をしていたのであって、FDASの新しい計画を発表したわけではない。

大手による仮想通貨市場への参入事例

創業約1年のFDASは、機関投資家向けのビットコイン・ブローカーおよびカストディアンとしての業務を行い、歴史ある大手金融企業による仮想通貨市場への参入事例として、これまでのところ最も重要なものの1つとなっている。

12月、FDASはヨーロッパの機関投資家のためにヨーロッパで新しい組織を立ち上げると発表した。

11月には、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から信託企業としての認可を受け、ニューヨーク州の機関投資家に対するビットコインのカストディの提供が可能となった。

現在、FDASはビットコインを主に相対(OTC)取引から調達しているが、2019年末までには仮想通貨取引所との初めての契約を計画している。

ニューヨークのイベントでサンドラー氏は、2020年のテーマはさまざまな形でデジタル資産に関心を示している顧客と付け加えた。

「顧客は我々のもとにやってきて、『ポートフォリオの1〜2%をビットコインにしたい』と言ってくる。これは大きな前進」とサンドラー氏は述べた。

「だが同時に、ビットコインをポートフォリオにどのようにして組み込むのか? どのような評価ツールが使われているのか? ビットコインがフォークしたらどうなるのか? ビットコインを所有したいのか? という点についても、大きな前進だ」

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Christine Sandler (second from right) at an American Banker conference in 2018, photo by Marc Hochstein for CoinDesk
原文:Fidelity Exec Predicts Crypto Custodians Will White-Label Their Services