2019年、分散型金融(DeFi)アプリケーションの成長と人気をめぐる継続的なアピールにも関わらず、ブロックチェーンアプリのユースケースとして最も一般的なものはゲームとギャンブルのままだ。
ブロックチェーン分析サイトDapp.comによると、ゲームとギャンブルの分散型アプリケーション(Dapps)には2019年12月31日時点、7つの異なるDeFiスマートコントラクト・プラットフォームの約4倍のユーザーがいる。
■カテゴリー別のDappsユーザー数
DeFiアプリケーションの成長は主に2019年、イーサリアム・ブロックチェーンに集中していた。
Dapp.comによると、DeFiアプリケーションの75%以上はイーサリアム上で動いている。2番目はEOSで11%を占めた。
イーサリアムだけを見ると、2019年のDeFiの成長は明らか。1年の複数の時点で、DeFiアプリはユーザー数でゲームやギャンブルのアプリを上回った。
■イーサリアムでのカテゴリー別のDappsユーザー数
これら3つのカテゴリー以外では、イーサリアムを含めた10のスマートコントラクト・プラットフォームにおけるユーザー数は減少した。
ブロックチェーン分析サイトDappRadarのデータを見ると、10のプラットフォームのユーザー数は5月の11万人から12月初めには4万1000人へと62%減少した。アプリの数さえも、529から370へと減少した。
■DappsとDappsユーザー数
2019年のDeFiをめぐる議論と人気の高まりにも関わらず、データはDappsのエコシステムが弾みをつけることにまだ苦戦していることを示している。
DappRadarのコミュニケーションディレクター、ジョン・ジョーダン(Jon Jordan)氏によると、2019年にDappsによって生み出された数少ない活動は、わずかなプロジェクトに限られていた。
「イーサリアムで稼働しているDappsの18%が(Dappsエコシステム全体の)価値の99%を占めている。ごく少数のDappsがイーサリアムのDappsの価値の大部分を占めている。そのような文脈では、ブロックチェーンで運営されているDappsの数は重要ではない」とジョーダン氏はCoinDeskにメールで述べた。
強い楽観主義
長期的な視点で見てみると、ブロックチェーン分析サイトState of the Dappsによると、2019年の減少傾向は2018年後半以降の長期的な減少傾向から続いている。
■新しいDappsのローンチ数
だがそうであっても、仮想通貨業界の多くの人はまだ、新しいインターネットのインフラとして機能するブロックチェーン技術の潜在力を信じている。
ブロックチェーンスタートアップBlockstackのCEO、ムネーブ・アリ(Muneeb Ali)氏は、ブロックチェーン向けの「Web 3」のユースケースはいつか、数億人の新しいユーザーを惹きつけると確信している。
「我々は2019年、我々のプラットフォームに真のアプリケーションを獲得していくことに重点を置き始めた。次の挑戦? これらのアプリケーションに100万人のユーザーを獲得すること。仮想通貨業界でそれを成し遂げた人はまだいない」とアリ氏は11月、CoinDeskとのインタビューで語った。
IOHK(Input Output Hong Kong)のCEO、チャールズ・ホスキンソン(Charles Hoskinson)氏も同様の楽観的で野心的な目標を持っている。ホスキンソン氏もまた、新しいDeFiアプリケーションに特化したカルダノ(Cardano)と呼ばれる汎用ブロックチェーン・プラットフォームを構築している。
ホスキンソン氏によると、業界は単にDappsの開発と実行に向けた適切な技術の開発に、多くの時間を必要としているだけだ。
「5〜10年の時間軸で考えている」とホスキンソン氏は9月、CoinDeskとのインタビューで語った。
「まだ誰も広範な普及や規模拡大を達成していない。まだ極めて初期段階にある」
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
原文:Compared to Gaming and Gambling Dapps, DeFi Is Still Behind