世界は我々を必要としている、ビットコインは「決済手段ではない」から:リブラ協会幹部【CES 2020】

「資産クラスとしてのビットコインは、数学的な希少性が極めてエキサイティングな資産を支えられることを証明した」とリブラ協会(Libra Association)のダンテ・ディスパルテ(Dante Disparte)副会長は1月7日(現地時間)、ラスベガスで開催中の家電見本市「CES 2020」で述べた。だが「決済手段ではない。まったく違う」

仮想通貨は決済ニーズに応えていない

ディスパルテ氏は1月7日(現地時間)、ラスベガスで開催中の家電見本市「CES 2020」でデジタルマネーフォーラムに登壇、ガジェットファンやテクノロジーのアーリーアダプターに自説を披露した。

「経済的モビリティの最初の段階は、決済手段へのアクセス」と同氏は述べた。そして現在までのところ、仮想通貨は期待に応えていないとし、それがフェイスブック(Facebook)がリブラ(Libra)で構築しているものに関心を持った理由と述べた。

リブラ協会は大企業のコンソーシアムで、最終的に、ステーブルコインであるリブラのローンチを目指している。

リブラは、銀行サービスにアクセスできない数百万の人々のためにフェイスブックが設計した仮想通貨。参加企業はノードを運用することになるが、既存メンバーの承認がなければ参加できない。既存の金融よりも分散的だが、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のような非許可型(パーミッションレス)ではない。

リブラは複雑な問題の解決に挑戦している。「いかにして幅広い普及を促進するか?」とディパルテ氏は述べた。

「いかにして、基本的に決済へのアクセスを人々に提供することをコスト面で困難にしている、狡猾な摩擦を取り除くか?」

リブラへの疑問と反論

「自社の利益を追求する企業による団体が、分散型システムよりも優れたマネーを提供できるとは思えない」とデクレッド(Decred)プロジェクトの戦略的リーダー、アキン・ソーヤー(Akin Sawyerr)氏は7日のパネルディスカッションで述べた。

「そこに真に到達する唯一の方法は、個人に何らかの基本的な主権を持たせること」

主権とは、ソーヤー氏によると個人が誰からの検閲も受けずに自分のお金をコントロールできることを意味する。ビットコインで言えば、自分のキーをコントロールする限り、誰にもビットコインを取り上げられることはない。

ソーヤー氏は、数十もの大組織が運営する許可型システムが検閲に対して強い抵抗性があるということに疑念を呈している。ご存知のとおり、リブラ協会に当初参加を表明していたペイパル(PayPal)、ビザ(Visa)、マスターカード(Mastercard)などの決済企業は10月、一斉に参加を見合わせた。

だがディスパルテ氏は、リブラが発展途上国の人々が実際に使用できる決済システムをもたらし規模を拡大する前に、リブラを同氏が「仮想通貨の純度試験」と呼ぶものの対象とするのはフェアではないと述べた。

「どちらか一方ではない。世界はゼロサムではない」

翻訳:Emi Nishida
編集:増田隆幸
写真:Decred’s Akin Sawyerr (center) speaks on a CES panel with Libra Association Vice Chair Dante Disparte (right), photo by Brady Dale for CoinDesk
原文:Libra Association Exec: World Needs Us Because Bitcoin Is ‘Not a Means of Payment’