2020年のビットコイン価格は有望──限られた供給と利用の高まりが要因:ブルームバーグ・レポート

グローバルな不確実性の高まりとドル安は、価値の保存手段として認識されるようになるにつれて、ビットコインにより多くの投資家を集めることになるだろう。ビットコインの供給量が決められていることは、2020年を通じてさらなる価格上昇をもたらす。ブルームバーグのアナリストはそう予測している。


1万4000ドルを予測

1月6日(現地時間)に公開されたブルームバーグの仮想通貨に関するレポート「Bloomberg Crypto Outlook – January 2020 Edition」は、ドル安と株式市場のボラティリティが継続し、地政学的緊張が高まる中、ビットコイン価格は2019年の高値レンジまで上昇し、1万4000ドル(約150万円)の高値を再び試す可能性があると予測している。

「イランで最も有力な司令官の1人を殺害した(1月3日の)アメリカの空爆に対するビットコインの最初の反応は、ビットコインがデジタルゴールドへと成熟を遂げているという我々の前提の絶好のテストとなった」とレポートは記した。ビットコインは1月8日、7週間ぶりの最高値まで上昇、一方、ゴールドの価格も2013年以来初めて1600ドル(約17万円)まで上昇した。

ビットコインは長らく「デジタルゴールド」と捉えられてきた。ゴールドと同様に、変化する需要に合わせて簡単に増やすことができない限られた資産であることがその一因。2020年5月に予定されている半減期によってブロック報酬は12.5BTCから6.25BTCへと減少し、需要が増え続ければ、供給への圧力はさらに高まることになる。

ビットコインの供給は2020年、約2.5%増加することが予想されているが、この数字は過去最低のもの。その理由の一部は、12.5BTCから6.25BTCへのブロック報酬の半減にある。2021年の供給は2%未満まで減少する可能性があるとアナリストは述べている。

デジタルゴールドとしての地位を強化

ビットコインへの投資の高まりは、数多くの形態を取る可能性があるとアナリストは考えている。急速に拡大しているデリバティブ市場──主流市場への仲間入りのサイン──は、機関投資家がビットコインに投資することをさらに可能にする。これは価格に波及効果をもたらし、ボラティリティを削減する。そして、価値の保存手段としてのビットコインの地位を強化する。

ビットコインとゴールドが強いつながりを持っていると誰もが確信しているわけではない。仮想通貨と外国為替の取引所に特化しているクオンタム・エコノミクス(Quantum Economics)の創業者マティ・グリーンスパン(Mati Greenspan)氏はそうした関連は「弱い」と述べ、これら2つの資産の相関関係は最近までマイナスだったと指摘した。

ビットコインはまた、短期的には急激なボラティリティを示す傾向がある。ビットコインは中国の習国家主席がブロックチェーン技術の導入を促進すると発言した後、1万ドル(約109万円)超えまで高騰し、その数週間後に以前の価格帯まで下落した。一部のアナリストにとって、そうしたボラティリティは、ビットコインは安定した価値の保存手段であるという主張を根本的に、少なくとも当面は弱めてしまう

だが、ビットコインはまだ多くの人に好まれるにはボラティリティが高すぎるかもしれないが、ビットコインに投資している投資家は、ある程度安定した価格を維持することができるデジタル資産にますます価値を見出しているようだ。ブルームバーグのレポートは、テザーの時価総額は2020年に拡大を続けるが、ビットコイン以外の仮想通貨は供給が需要を上回る中、投資家を維持することに苦労するだろうと予測している。

「ビットコインは2020年、唯一かつ評価を集めるデジタルゴールドとして再びほとんどの仮想通貨を上回るはず」とレポートは続けた。

「特に独立した通貨のような存在を好む環境において、ビットコインは価値の保存手段として普及競争に勝ち続けている」

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Image via CoinDesk archives
原文:Bitcoin Price Will Be Golden in 2020 Thanks to Limited Supply, Increasing Use: Bloomberg Report