Off-Blocks、米政府機関テスト済みのデジタル署名サービスのベータ版ローンチ

デジタル署名プラットフォーム「オフブロックス(Off-Blocks)」は、米政府機関がテスト済みの書類認証ツールを一般向けに公開する。


ファイル形式を問わないサービス

CEOのコリン・キャンベル(Colin Campbell)氏によると、同社は1月13日(現地時間)、デジタルIDのモバイルアプリのベータ版をローンチした。同社は2019年11月から国土安全保障省(DHS)向けに開発してきたファクトム(Factom)ブロックチェーンを基盤とした偽造防止メカニズムの一部を一般ユーザー向けに提供する。フルバージョンは数週間後に運用を開始する見込み。

オフブロックスの一般ユーザー向けサービスは、デジタルファイルシェアリングに信頼性を与えることを目指している。人々や企業は生来、多くの書類を認証しなければならないとキャンベル氏は述べた。PDFの書類に署名することが、おそらく最もよく知られたデジタル署名のユースケースだろう。だが、デジタル化がますます進展する職場や暮らしには、より堅固なプラットフォームが必要と同氏は指摘した。

キャンベル氏は、スクリーンショット、動画、音楽ファイルを認証しなければならない可能性がある、日常の、さまざまな状況のユーザー向けにファイル形式を問わないオフブロックス・プラットフォームを構築したと述べた。

「大きな違いは、どのような形で送られたものでも、どのようなフォーマットのファイルでも署名できること」とキャンベル氏は述べた。

「あなたを取り巻くデジタルの世界とどのようにやり取りできるか想像してみてほしい」

デジタル著作権を認証しようとするクリエーター、あるいは保険会社に画像を「証拠」として提出する必要のある自動車事故の被害者もこのサービスを利用できるとキャンベル氏は述べた。

ユーザーにブロックチェーンを意識させない

キャンベル氏は、セカンドレイヤー・ソリューションは「マスマーケットにブロックチェーンを届ける唯一の方法」と信じて、このサービスの幅広い普及を目指していると語った。

市場の現状によって、キャンベル氏はファクトムとパートナーシップを組むことになった。同氏はビットコインやイーサリアムといったパブリックブロックチェーンによくある、高額で変動の大きな手数料を支払う余裕はなく、多くの潜在顧客は、一部の企業にまだ信頼されていない仮想通貨を使うことに二の足を踏んでいるとキャンベル氏は語った。

すべてが計画通りに進めば、オフブロックスの最初のユーザーはブロックチェーンが使われていることはまったく分からないだろう。

アプリには「『ブロックチェーン』という単語はまったく出てこない。ちょっとした禁句になってしまった」とキャンベル氏は語った(だがベータ版には使われている)。

オフブロックスでの認証イメージ

しかしそれは、ブロックチェーンは価値のない技術という意味ではない。キャンベル氏には、一般ユーザーを流行りの業界用語で煩わせる理由がなかった。同氏は自分自身を「テック業界の人間」とは考えていない。そして、ブロックチェーンについて、まだほとんど知らない一般ユーザーを教育しようとするより、複雑なバックエンドには触れない方が得策と考えた。

「今、ブロックチェーン上にあるアプリケーションのほとんどはマニアのためにマニアによって作られたもの。仲間を感心させようとしている」とキャンベル氏は述べた。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Digital signature image via Shutterstock
原文:Off-Blocks Launches US Government-Tested Digital Signature Service in Beta