アプリの市場・データ分析を行っているApp Annieが発表したモバイルアプリ市場の調査報告で、2019年はファイナンスアプリの利用が大きく拡大したことが明らかになった。世界のファイナンスアプリへのアクセス回数は、 2019年に1.1兆回を超え、2017年から2倍に(100%)増えている。
App Annieは「株取引アプリやモバイルバンキングアプリ、それに決済アプリなどの登場により、モバイルが毎⽇の家計管理や⽀払いにおいて中⼼的な役割を果たしている」と指摘した。
報告は「アプリ市場年鑑2020」として報告された。2019年の全世界アプリダウンロード数は2040億件、年間の全世界ダウンロード数(再インストールとアップデートを除外)は2016年から45%、また2018年からは6%増加した。ただ⽶国、⽇本、韓国など成熟した市場では、ダウンロード数がほぼ横ばいだったという。
銀行よりフィンテック企業のウォレットアプリのほうがエンゲージメントが多い
2019年の上位10位のフィンテックアプリの世界の平均MAU(Monthly Active Users、月ごとのログイン・利用ユーザー数)は、前年⽐で20%増えた。⼀⽅でバンキングアプリのMAU増加率は15%だった。
App Annieは「既存のユーザー基盤はバンキングアプリのほうが⼤きい傾向にあることを考えると、今回の結果は、モバイルによって登場し、成⻑しているフィンテックが、従来のバンキングサービスに⼤きな変⾰をもたらしている」と指摘している。
ウォレットアプリについて見ると、フィンテック企業のウォレットアプリの1週間のユーザーエンゲージメント数のほうが、従来型の銀⾏のウォレットアプリより多かった。
ただし、インドネシア、ブラジル、フランス、ドイツ、カナダ、ロシア、英国では、従来型の銀⾏のウォレットアプリのほうが多くのエンゲージメントを獲得した。
中国と韓国では暗号通貨取引所のウォレットアプリ(UpBit、Binance、Bithumbなど)がエンゲージメントの拡⼤をさらに促進したという。
2019年にブレイクしたファイナンスアプリ ランキング
各国でブレイクしたファイナンスアプリ(iOSおよびGoogle Playダウンロード数の前年⽐成⻑)の上位5位までを見ると、日本は「PayPay」「d払い」「イオンウォレット」「楽天Pay」「LINE Pay」の順。日常的な買い物などで支払いに利用される「○○Pay」の流行を裏付ける結果となった。
このほか、中国では「China Individual Income Tax」「JD Finance」「Gome easecard」「Huanbei Loan」「Xiaomi Loan」、アメリカは「Casp App」「Zelle」「Venmo」「Chime-Mobile Banking」「Experian」の順だった。
アプリストアの全消費支出は3年前の2.1倍に
世界のアプリストア消費支出は1,200億ドルで、2016年の2.1倍となった。成長をけん引したのは「⾮ゲーム系アプリ内のサブスクリプション」といい、全体に占める割合は28%だった。2016年は18%だったため、3年で10ポイント増加している。
世界最大の市場は依然、中国で、全世界の消費⽀出 の40%を占めた。
また、2019年に上場した企業の平均評価額では、モバイル中⼼企業は ⾮モバイル企業と比べて825%⾼かったという。2019年のIPO評価額の上位3社は、 いずれもモバイルビジネスが中⼼の企業で、1位〜3位はAlibaba Group(1676億ドル)、 Prosus&Naspers(1000億ドル)、Uber(824億ドル)だった。
文・編集:濱田 優
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