インドの中央銀行であるインド準備銀行は、さまざまな潜在リスクを理由に金融機関が仮想通貨を取り扱うことを「制限」したと述べた。
インド・インターネット&モバイル協会(Internet and Mobile Association of India:IAMAI)からの請願に対する回答の中でインド準備銀行(Reserve Bank of India:RBI)は、銀行の関与を制限するなかで、インドでの仮想通貨の一般的な利用を禁止したわけではないと述べた。同協会は2018年4月の指令によって影響を受けた企業の代理人として、現在、この件を最高裁判所で争っている。
インドの日刊紙エコノミック・タイムズ(Economic Times)は1月21日(現地時間)の記事で、2019年9月に裁判所に提出された30ページにおよぶ宣誓供述書のコピーを確認したとして、RBIの主張を以下のように引用した。
「第一に、RBIはインド国内で仮想通貨を禁止していない。RBIは、管轄する組織に対して、仮想通貨の取引あるいは決済を行う個人や組織に対してサービスを提供しないよう指示した。(中略)RBIは管轄する組織が、評判上や財務上のリスク、また法律上や運営上のリスクをもたらす行為に関わることを制限できた」
違法な財務での仮想通貨の利用が具体的な懸念事項としてあげられ、RBIは、匿名の国境を超えた決済手段には「迅速かつ厳格に対処しなければならない」と述べた。
RBIの銀行に対する禁止令はインド国内の仮想通貨業界に大きな影響を与えた。KoinexやZebpayを含む複数の人気取引所は、ユーザーが口座に法定通貨を入金することができず、閉鎖に追い込まれた。仮想通貨間の取引だけを提供することで、なんとか生き残ろうとした取引所もあった。
さらに最近では、取引高で世界最大規模の取引所バイナンス(Binance)がインドに拠点を置く取引所WazirXを買収。バイナンスは、ユーザーがインドルピーを入金し、ステーブルコインのテザー(USDT)を使ってWazirXの口座を処理できるようにする予定だ。
RBIの規制に対する裁判は数カ月におよぶ延期の末、現在も継続中だ。エコノミック・タイムズによると、最新の審理は1月21日に開始される。
さらにエコノミック・タイムズは、宣誓供述書の中でRBIは、2018年に仮想通貨を規制すべきか禁止すべきかについて政府と議論を行ったと述べたと付け加えた。RBIはICO(新規コイン公開)は禁止されるべきで、仮想通貨ファンドも許可されるべきではないとしていた。
さらにRBIは、仮想通貨の購入に対する支払いは禁止すべきで、改正された外国為替法のもとで監視されるべきと提案していた。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:India’s Central Bank Explains Why It Blocked Banks From Using Cryptos in Court Filing