ブロックチェーンに関する重要な指標は過去12カ月伸び続けている。個人トレーダーが保有するビットコインが着実に増加しているようだ。
ブロックチェーン市場情報企業グラスノード(Glassnode)によると、1月14日時点で1ビットコイン以上を保有するアドレスは78万4000となり、1年前の70万7000から11%近く増加した。2015年初頭と比べると2倍以上となった。
「数字の着実な伸びは、個人トレーダーが増えた結果」とデジタル・アセット・データ(Digital Assets Data)の仮想通貨リサーチアナリスト、コナー・アベンドシャイン(Connor Abendschein)氏は述べた。
アドレスの増加は取引所と「くじら(whales)」として知られる大口保有者もその要因となっている。そうしたアドレスは通常、大量のビットコインを保有し、しばしばビットコイン「リッチリスト」、つまり多くのビットコインを保有するアドレスランキングの上位に位置づけられる。
例えば、bitinfocharts.comが発表したリッチリストのトップ5のうち3つは、人気の取引所であるフォビ(Huobi)、ビットフィネックス(Bitfinex)、バイナンス(Binance)。トップはフォビのコールドウォレットで現在25万5502ビットコインを保有している。
一方、0.1〜1ビットコインを保有するアドレスも前年比で10%増加した。しかしこれら少額のビットコインは大規模なトランザクションの差分あるいは1回限りのユーザー保有分の可能性がある。
「価値の保存」手段として普及
「多くのビットコインを保有するアドレスの増加は、価値の保存手段として普及しているサイン」とアベンドシャイン氏は述べた。
1ビットコイン以上を保有するアドレスの増加が示すように、個人トレーダーの増加は価格の大きな変動にもかかわらずここ数年堅調だ。
ビットコイン価格は2019年上半期に3600ドルから1万3880ドルに上昇したが、12月には6430ドルに下落した。それでも1ビットコイン以上を保有するアドレスは過去12カ月で7万7000増加した。
投資家のこのタイプの行動はゴールド市場で見られる。価値の保存手段として強い魅力を持つ古典的な安全資産であるゴールドは通常、短期的な価格トレンドにかかわらず、世界中に保有者が存在する。
だが、ビリオネアの投資家でヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツ(Bridgewater Associates)の創業者のレイ・ダリオ(Ray Dalio)氏など多くの観測筋は、ビットコインが価値の保存手段として適切な代替品になるにはシンプルに変動性が高すぎるという意見だ。
富の分配
「アドレスは潜在的なユニークユーザーを表しているようなもの」とARKインベスト(ARK Invest)の仮想通貨アナリスト、ヤシネ・エルマンジェラ(Yassine Elmandjra)氏はCoinDeskに語った。
「ユニークなビットコイン・アドレスの増加は、ビットコインの富の分配が伸び続けていることを示している」
しかし市場は依然として「くじら」に支配されている。2019年12月時点、1000〜100万ビットコインを保有する投資家はビットコインの総供給量の42.1%を保有している。2017年後半の価格上昇時には37.9%だった。
またユニークアドレス数の増加は必ずしも市場に新しい投資家が参入したことを意味するわけではない。1人の投資家は複数のアドレスを保有できるため、指標には限界がある。つまり、1ビットコイン以上を保有するアドレス数の増加は、必ずしも市場参加者の増加を意味するわけではない。
翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
原文:Retail Accumulation? Number of Bitcoin Addresses With One or More Coins Sees Solid Rise