デジタル通貨は2年で主流に:ドイツ銀行レポート

デジタル通貨は2、3年で広く普及する可能性がある。ドイツ銀行の新しいレポートが示唆した。

デジタル人民元+リブラ=世界の人口の半分以上

2020年1月27日(現地時間)に発表されたレポートは、デジタル通貨はその誕生からほんの10年しか経っていないが、すでに「決済、銀行、中央銀行、そして経済力のバランスを根本的に変える可能性」を持つことを示したと述べた。

「我々は新しいデジタル通貨が今後2年以内に主流になる可能性があると信じている」

報告書は、2020年に中国のデジタル人民元フェイスブック(Facebook)のリブラ(Libra)がローンチする予定であることに言及しつつ記した。この2つのプロジェクトが実現すれば、15億人以上の中国国民と25億人のフェイスブックユーザーはデジタル通貨を使えることになる──2つを合わせると世界の人口の半分を超える。

仮想通貨の現在の普及速度は初期のインターネットに匹敵するとレポートは記した。このままの速度が続けば、仮想通貨ウォレットは2020年の5000万から、2030年までには2億を超える可能性がある。

若年層と高齢層で大きなギャップ

今回のレポートは、決済の将来を検討しているドイツ銀行による一連のシリーズの第3弾。最初のレポートは、ビットコインなど多くの既存の仮想通貨は決済あるいは価値保存の実現可能な手段として使うにはボラティリティが高すぎると強調した。第2弾のレポートは、その固有のメリットによって現金は今後数十年も決済手段として存続する可能性を指摘した

今回のレポートでも多くの指摘が繰り返されたが、研究者らはまた、デジタル通貨は電子決済の利便性と現金決済のプライバシーを組み合わせることができることを強調した。中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関しては、グローバル経済の体系的な問題に対処する新しいソリューションとなると述べた。

CBDCがフルに展開されると、各国の中央銀行は全国民が利用可能な口座を作ることができるとドイツ銀行は述べた。それにより、「現在の分断化された準備銀行システムが引き起こす、多くの問題を解決」できる可能性があるとレポートは記した。そして商業銀行は「取り付け騒ぎに対して脆弱」ではなくなる。政府は2008年に余儀なくされたように「大きすぎて潰せない」金融機関を救済しなければならない立場に追い込まれることはなくなると研究者らは述べた。

ドイツ銀行はその研究の一環として、3600人の顧客を対象に調査を行った。わずかな数だが、若年層と高齢層の間に「明確な違い」が見られたとレポートは記した。

高齢層の多くは仮想通貨を一度も保有したことがなかったり、その機能を理解していない。一方、1981年から1996年の間に生まれたミレニアル世代の「大多数」はすでに仮想通貨の取引を行い、仮想通貨は経済全体にとってメリットをもたらすと考えていた。

ドイツ銀行は2017年、ブロックチェーン技術が企業にもたらすチャンスは「巨大」であり、2027年までに世界のGDPの10%程度はブロックチェーンを使って追跡・規制が可能になると予測した。ドイツ銀行は2019年9月にJPモルガンのJPMコインを利用するブロックチェーンベースの決済ネットワーク「インターバンク・インフォーメーション・ネットワーク(INN:Interbank Information Network)」に参加した。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:360b / Shutterstock
原文:Deutsche Bank Says Digital Currencies Could Be Mainstream in 2 Years