ビットコインはコロナウイルスに起因するリスク回避の動きが伝統的な市場に打撃を与える中、上昇軌道を維持している。
ビットコインは1月28日のアジアの取引時間中に9000ドルの200日移動平均線を超え、9150ドルまで上昇した。月初からの累積損益は25%以上となった。
当記事執筆時点、ビットコインは9061ドルで取引されている。CoinDeskのBitcoin Price Indexによると、朝の高値からわずかに下落したにもかかわらず、ビットコインはこの24時間で4.8%上昇し、週末に記録した8250ドル付近の安値から約700ドル上昇した。
週明け、ビットコインは好調なスタートを切ったが、世界中の株式市場は売り圧力に晒されている。
株価は大きく下落
特にダウ工業株30種平均は27日、中国で発生したコロナウイルスが世界中に広がり、世界の経済成長に打撃を与える可能性があるとの懸念から旅行関連株が急落したことを受け、450ドル以上下落した。
コロナウイルスへの懸念の中、ビットコインのパフォーマンスは株式市場を上回っている。一部の専門家はビットコインは安全資産としての需要を引き寄せていると確信している──さらに、伝統的な安全資産であるゴールドの今週、現時点までの上昇はわずか0.65%にとどまっている。
しかし、アレックス・クルーガー(Alex Kruger)氏のような著名アナリストによると、ビットコインは安全資産であるという論調は強くない。
「金曜日までは『コロナウイルスはビットコイン価格を押し下げる』というストーリーだったことを心に留めて欲しい。今は『コロナウイルスはビットコイン価格を押し上げる』だ。ストーリーを築くことはきわめて難しい」と同氏は28日、ツイートした。
さらに言えば、ビットコインは中国当局が武漢を事実上封鎖した1月23日の少なくとも2週間前には7000ドル以下で取引されていた。
実際、ウイルスの流行は最終的に仮想通貨市場に悪影響を及ぼす可能性があると仮想通貨レンディング企業DeFinerの創業者兼CEO、ジェイソン・ウー(Jason Wu)氏は今週はじめCoinDeskに語った。
多くの中国人個人投資家は長期休暇となる旧正月の直前に仮想通貨を現金化し、新年に再投資する傾向があるとウー氏は語った。ウイルスの流行によって、お金は仮想通貨市場に戻らず、価格下落につながる可能性がある。
テクニカル分析から見ると、価格の動きは重く見え、今後24時間のうちに少し下落する可能性がある。
1時間足
相対力指数(RSI)は28日早く、弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)を示して強気の疲弊を示した後、上昇のトレンドラインから急落し、8250ドル付近の安値からの上昇の終わりを示した。
MACD(移動平均収束拡散法)指標はゼロを大きく下回り、下落のモメンタムが強まっていることを示した。
4時間足
現在の4時間足は陰線となっており、ある期間の値動きが前の期間の値動き幅に収まるインサイドバー(はらみ足)が買い手の疲労を示している。
RSIも買われすぎ(70%以上)から反転し、修正の余地を残している。
1時間足と4時間足はビットコインが元の抵抗線で支持線となった8793ドル〜8750ドルまで戻す可能性を示している。
到達しなかった場合、次の支持線は8530ドルとなる。その水準が続けば、強気相場はひと息つき、9000ドルの抵抗線を狙った新たな動きは始まる可能性がある。
アメリカの取引時間内に9150ドルを超えれば、8750ドルに戻される可能性は弱まる。この場合、最近の高値9188ドルまで上がる可能性がある。
より長期のチャートが強気相場を支持していることは注目に値する。よって、仮に引き戻しがあったとしても、短期間に終わる可能性がある。
※筆者は当記事執筆時点、仮想通貨を保有していない。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
原文:Bitcoin Rallies to Near $9,150 as Stocks Drop Over Coronavirus Fears