メトロポリタンコマーシャルバンク(Metropolitan Commercial Bank)のデジタル通貨関連企業からの預金は、1年以上にわたって徐々に減少している。かつて競合がいなかったこの分野で、競争が激化していることを示している。
仮想通貨大手を顧客に抱えるが…
ニューヨークを拠点とするメトロポリタンコマーシャルバンクが先週行った投資家向けプレゼンテーションによると、2018年にデジタル通貨関連企業からの預金は52%減少し、2018年12月31日には1億400万ドル(約114億円)となった。デジタル通貨関連企業の預金が同行の預金全体に占める割合は4%、その前年の13%から減少した。
同行はデジタル通貨関連企業へのサービス提供を公にしている数少ない銀行の1つ。プレゼンテーションでメトロポリタンは多様なグローバル決済企業──仮想通貨決済企業ビットペイ(Bitpay)、仮想通貨プラットフォームのクリプトドットコム(Crypto.com)、仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)、仮想通貨仲介企業ボヤジャー(Voyager)など──を顧客として抱えていることをアピールした。
しかし、デジタル通貨関連企業からの預金が平均3億6900万ドル(約403億円)だった2018年第2四半期のピーク時から比べると、そのビジネスはかなり見劣りした。
預金の減少は一部には、2018年から2019年にかけての仮想通貨の弱気市場を反映した可能性がある。だがこれまでに大半の金融機関が進出に二の足を踏んできた分野において、同行が厳しい競争に直面していることも示唆した。
例えば、競合のシルバーゲイトバンク(Silvergate Bank)では仮想通貨関連企業の預金の減少ペースはより遅く、2019年9月30日には12億9000ドル(約1410億円)、前年比22%の減少にとどまった。同じ期間に同行の仮想通貨関連の顧客は273社増えて合計756社となり、同行の18億ドル(約1970億円)の預金の約70%を占めた。
2019年に上場したシルバーゲイトバングは、1月29日に第4四半期の決算報告を予定している。
銀行間の競争が激化
2019年、マサチューセッツに拠点を置くプロビデントバンク(Provident Bank)、ニューヨークのクオンティックバンク(Quontic Bank)など、複数の銀行が仮想通貨関連企業向けのサービスを開始した。
預金を維持するために戦うのではなく、メトロポリタンは預金の一部が流出するままにしていた可能性があると投資企業Keefe, Bruyette & Woodsの銀行株アナリスト、クリストファー・オコネル(Christopher O’Connell)氏は指摘した。
「多くの競合(銀行)の進出に伴い、手数料の一部が変わった。同行は堅実な(預金)供給ルートを持っているので、(中略)ここにコストをかけたくなかったのかもしれない」
デジタル通貨関連企業からの収益は、2017年第4四半期と2018年第1四半期に同セクターの外国為替両替手数料と現金管理手数料が高騰して以来、同行の総収益の約1%を常に保っているとオコネル氏は述べた。
メトロポリタンはコメントを拒否した。2019年第4四半期の決算報告において同行は、2018年に比べて2019年は無利子収入が150万ドル(約1億6000万円)減少した理由について、デジタル通貨関連企業からの手数料の減少をあげた。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Metropolitan Commercial Bank image via Shutterstock
原文:Crypto-Related Deposits Drop by Half at Metropolitan Commercial Bank