大手キャリアのKDDIが、自社のスマートフォン決済アプリ「au WALLETアプリ」を「au PAY」に改称し、スーパーアプリ化する構想を発表した。スーパーアプリとは、ユーザーの生活に関わるさまざまなことができる各種アプリを一つの統合したもので、ソフトバンク陣営のPayPayを筆頭にして、決済アプリを中心に各社が覇権争いに名乗りを上げている。
金融に強い「スーパーアプリ」を目指す
ソフトバンク傘下のZホールディングスはスマホ決済アプリPayPayを起点にスーパーアプリ化を目指し、LINEはメッセージアプリのLINEを起点に金融や日常のアプリを組み合わせている。
海外ではこの動きは既に進んでおり、アリババ・グループのAlipayやテンセントのWeChat Payが、ミニアプリとしてさまざまなアプリを統合する先鞭をつけている。
こうした中で、スーパーアプリの競争に名乗りを上げたau PAYの特徴は「金融に強い『スーパーアプリ』」を目指す点だ。KDDIグループのauフィナンシャルホールディングスが、銀行や決済・証券、保険などの金融各社を傘下にもっており、それら金融サービスをau PAYに持ち込むことで実現する考え。
構想では、2020年3月にも公共料金の支払いや「おつり投資」などのサービスを提供。5月からはau PAYにPontaを統合する。ポンタは三菱商事の関連会社であるロイヤリティ・マーケティングが運営するポイントサービスだが、同社は昨年12月、KDDIと資本業務提携を結んでいる。KDDIによると、au WALLETとポンタの会員数は合計で1億人を超えるという。
ポイント20%還元キャンペーンでPayPayに対抗
サービス統合にあたり、KDDIは2月10日から3月29日まで、au PAYを使えば最大20%相当のポイントを還元するキャンペーンを実施する。一回の付与額は3万円までで、期間中の付与額は最大7万円相当。先行するPayPayは2月中、吉野家や松屋など特定の飲食店での支払いで40%還元されるサービスを発表している。
消費者が最も利用するアプリとしての地位を獲得するための、こうしたポイント還元キャンペーン競争もしばらく続きそうだ。
文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:KDDIのリリースより