アクセンチュアが世界の金融機関のリスク管理部門を対象に行った調査で、「ブロックチェーン」や「量子コンピューティング」などの導入に際して、組織のリスクを「十分に評価できている」と考えているリスク管理部門の管理職がわずか5%しかいないことが分かった。
クラウドは43%と高く、RPAや機械学習は9%、AIは11%と低め
これは世界の銀行、保険、証券分野のリスク管理部門を率いる管理職683人を対象に電話インタビューを実施してデータを収集したもので、同社が2019年12月に「アクセンチュア 2019 グローバルリスク管理調査(Accenture 2019 Global Risk Management Study)」として公開。このほど日本でも結果が公表された。
具体的には、各テクノロジーを導入する際に、組織のリスクを「十分に評価できている」と考えているリスク管理部門の管理職が、IoTは6%、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)や機械学習は9%。人工知能(AI)は11%などだった。このほかビッグデータは18%、クラウドは43%という結果だった(図参照)。
また回答者の72%が、「相互に関連する複雑かつ新たなリスクがかつてないほど急速に発生している」と答えたが、その一方、回答者の42%はリスク管理部門が一定の効果を上げているのは、外部のリスク環境の変化への迅速な対応のみだと答えたという。
将来のリスクに対して過去2年間で行った対応に「満足している」と答えた回答者の割合を見ると、リスク管理部門で機械学習を“活用している“場合は73%だったが、“活用していない”場合は45%に留まった。
Among ML users, 73 percent are satisfied with two-year progress vs. 45 percent of non-users.
2019 Global Risk Management Study(編注:ML=Machine Learning)
同社シニア・マネジング・ディレクターで財務・リスク管理事業のグローバル統括のスティーブ・カルプ(Steve Culp)氏は、「問題は、リスク管理を担う管理職がテクノロジーと同じペースで進歩できていないこと」と指摘。その一方で、「リスク管理部門の管理職は、コスト削減の圧力を受けながらも、幅広いデータソースや高度なアナリティクス、AIなどを含む新しいツールやアプローチを取り入れる必要性を認識」していると評価した。
文・編集:濱田 優
画像:アクセンチュア 2019 グローバルリスク管理調査