野村総合研究所が、暗号資産(仮想通貨)のインデックスを開発し、1月31日から国内外の機関投資家などへの提供を始める。
提供するインデックスは「NRI/IU暗号資産インデックスファミリー」と呼ばれ、野村総研とインテリジェンスユニット(IU:本社・東京港区)が共同で開発。野村総研の金融情報データベース・サービス「IDS」を通じて、同サービスのユーザー向けに提供される。野村総研が29日に発表した。
欧米の機関投資家や大学基金、富裕層はすでに、ビットコインなどの暗号資産を新たな資産クラスに位置づけ、投資を始めている。また、運用会社は、ベンチマークに連動した暗号資産インデックスファンドや、ETF(上場投資信託)の運用を強化してきている。野村総研は、機関投資家が暗号資産を投資対象として評価する際、その資産のベンチマークの必要性は強まると判断した。
日本円ペアと米ドルペアの2種類
インデックスは、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、リップル(XRP)などの主要通貨の加重平均値(時価総額ベース)で、国内の暗号資産取引所に上場している日本円ペアを中心とする「NRI/IU暗号資産インデックス(円)」と、海外の取引所に上場する米ドルペアの「NRI/UI暗号資産インデックス(ドル)」の2種類。
主要通貨は現時点では、BTC、ETH、XRPに加えて、ビットコインキャッシュ(BCH)とライトコイン(LTC)。日次での評価は、東京時間の午後3時に行い、月次でリバランスを行う。日本を含むアジアの機関投資家が暗号資産投資を行う際に、ベンチマークとして利用されるよう設計されているという。
野村総研とIUは、インデックスの算出において、欧州の金融ベンチマーク規制に沿い、ドイツのMV Index Solutions社が開発したインデックスプラットフォームを活用した。
米国では、コモディティや金融商品のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が既にビットコイン先物を上場し、取引は活発に行われている。オプション取引も今月に始まった。日本とは対照的で、米国におけるビットコインの市場形成は、ピッチを上げて進められている。
文・編集:佐藤茂
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