コンセンシスが証券会社を買収、狙いは数兆ドル規模の地方債市場のディストラプション(創造的破壊)。
イーサリアムに特化したVCでありテクノロジー企業であるコンセンシスは、フィラデルフィアに拠点を置く証券会社、ヘリテージ・ファイナンシャル・システムズ(Heritage Financial Systems)の買収を完了したと発表した。ブルームバーグが2月5日(現地時間)に伝えた。
買収によってコンセンシスはアメリカでの投資顧問業務および証券業務が可能になり、同社のイーサリアムベースのシステム「Codefi」を使ったトークン化された地方債の発行が可能になる。
アメリカの地方自治体は19世紀初頭から公共プロジェクトの資金調達のために地方債、いわゆる「ムニボンド」を発行してきた。その額は2018年第3四半期には4兆ドル(約440兆円)近くにのぼり、投資家は毎年、地方債に数十億ドルを投資し続けている。ブラックロックのレポートによると、2019年、投資額は900億ドルを超えた。
高い人気を誇る投資だが、地方債にはしばしば事務的な問題がある。返済の遅れは珍しくない。地方地自体が5000ドル未満の債権を発行することはほとんどないため、地方債の流通市場は比較的小さく、活性化していない。
コンセンシスはブロックチェーンは返済を自動化し、流通市場での債権や債務の移動を追跡することによって地方債市場をディスラプト(創造的破壊)できると考えている。またスマートコントラクトは、現在、銀行が手作業で行わなければならない法的な契約業務の多くを代替できると考えている。
ブロックチェーンはまた、地方自治体が少額の地方債を発行することをサポートできる。ブルームバーグの取材に対してコンセンシスのグローバルフィンテックの共同責任者、パトリック・ベラドゥッチ(Patrick Berarducci)氏は、この技術は大規模な金融機関ではなく、地元コミュニティの住民による地方債の購入を促進する可能性があると語った。
ヘリテージ・ファイナンシャル買収の契約条件と買収価格は明らかにされていない。今週、コンセンシスはInfura、PegaSys、MetaMask、Codefiなどの主要なインフラプラットフォームに注力するために、人員の14%を削減すると発表している。