バックトが狙う1兆ドル規模のマーケットとは

バックト(Bakkt)のロイヤルティプログラム提供企業の買収は「1兆ドルを超えるマーケットにバックトの存在を拡大する」と2月6日、親会社ICEのCEOは語った。

戦略の第2フェーズ

2月6日(現地時間)に行われたインターコンチネンタル取引所(ICE:Intercontinental Exchange)の第4四半期決算報告で、CEOのジェフリー・スプレッチャー(Jeffrey Sprecher)氏は買収交渉が中断していたBridge2 Solutionsは、最終的に同社が買収することになり「我々のデジタル資産戦略の第2フェーズを加速させる」と語った。

「規制を受けたビットコイン先物およびオプション取引と同様に、規制を受けたビットコイン・カストディソリューションの構築から始めた」と同氏は語った。第2フェーズには、2019年10月に初めて公式に発表されたBakktの消費者向けデジタル決済アプリも含まれている。

「次の大きなハードルは、アプリを消費者の手に届けることであり、収益やコストよりも、消費者に使ってもらえることを重視していく」とスプレッチャー氏は語った。

「幸い、我々にとってそれほど大きな負担ではない。(中略)現在、我々はトレーディングとさまざまな報酬プログラム運用からの収益があり、財務上の大きな柔軟性を備えている」

ユーザーは1つのプラットフォームで航空会社のマイル、ホテルのポイント、仮想通貨や他の資産を管理・取引できるようになると同氏は語った。バックトはまた、将来の新しい可能性としてデジタルゲームにも注目している。

「我々はバックトをこうしたポイントのアグリゲーター&マーケットプレイスとして位置づけていく」

4500のロイヤルティプログラムをサポート

Bridge2はすでに4500のロイヤルティおよびインセンティブプログラムをサポートしており、アメリカの金融機関トップ10のうち7社のプロダクトをサポートしているとスプレッチャー氏は語った。

同氏はまた「従来の決済インフラは直販の時期を迎えている」とフォーチュン誌に語った。

同氏は、バックトのアプリは「ダイレクトな決済システム」であり、サードパーティーのサービスに依存しないと考えている。

「報酬を現金のようなものにすることは、その方向への1歩になると考えた」

バックトは2020年上半期にアプリをローンチする予定だ。

同社はまた、資金調達とプロダクト開発を続けている。2月5日のプレスリリースでICEは、バックトは近日中に新たな資金調達ラウンドを完了する予定と述べた。

2月6日の決算報告でICEのCFO、スコット・ヒル(Scott Hill)氏はバックトはICEの予想支出に含まれていると語った。ICEはテクノロジーと運用に2000万〜3000万ドル(約22億円〜33億円)の支出を予想している。支出にはバックトに加えて、ICEの先物や他のプラットフォームも含まれている。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:CoinDesk archives
原文:ICE CEO: New Acquisition Opens Trillion-Dollar Market for Bakkt