ここ数週間のオプション価格の動きをもとにすると、今後6カ月、イーサリアムはビットコインよりも高いボラティリティに直面することになる。
イーサリアムのボラティリティは上昇
イーサリアム(ETH)とビットコイン(BTC)の6カ月アット・ザ・マネー(オプションの行使価格と市場価格が等しい状態、つまり利益がゼロの状態)のインプライドボラティリティ(予想変動率)のスプレッド(乖離)は、6カ月ぶりの高水準である22%ポイントまで増加した。仮想通貨デリバティブ分析企業スキュー(Skew)が指摘した。
この増加は、投資家は今後180日(6カ月)、イーサリアムにビットコインよりも大きな動き(どちらの方向であっても)を予想していることを示している。
スプレッドは10月末に4.7%で底を打ち、それ以降、上昇傾向にある。
興味深いことに、イーサリアムは過去3カ月半あまり、一貫してビットコインよりも大きな動きを見せており、インプライドボラティリティ・スプレッドの増加の確かさを証明している。
ビットコインは2019年11月と12月で21%下落し、一方でイーサリアムは30%近く下落した。2020年は状況が違っている。ビットコインが年初から37%上昇したのに対して、イーサリアムは73%上昇している。
インプライドボラティリティとは?
インプライドボラティリティは、資産に将来的にどれくらいのリスクがあるかについての市場の期待値。いわば、トレーダーが予測する利益の標準偏差だ。
インプライドボラティリティは、オプションの行使価格と原資産の価格を用いて計算される。また満期日までの時間といった他のデータも使用する。そしてブラック・ショールズ・マートンといったオプション価格モデルを利用して、インプライドボラティリティを算出する。
ボラティリティはオプション価格に好影響をもたらす。ボラティリティが高ければ高いほど、コール(買い)とプット(売り)に対するヘッジング需要は高くなる。
インプライドボラティリティは、方向性については何も示さない。大きな強気あるいは弱気の動きが迫っていることを示すのみ。しかしトレーダーは通常、ボラティリティの高まりを弱気相場と結びつける。ほとんどの投資家にとって「リスクが高い」からだ。
イーサリアムは以前ほどリスクは高くない
ヒストリカル・ボラティリティ・スプレッドによると、イーサリアムは最近、ボラティリティが高まっているが、ここ数カ月ではまだ、ビットコインよりもリスクが高いということはない。
リアライズドボラティリティ、またはヒストリカルボラティリティは、パーセントで示された、原資産の平均価格からの標準偏差を言う。ヒストリカルボラティリティが高ければ高いほど、その資産のリスクは高くなる。
イーサリアムとビットコインの6カ月リアライズドボラティリティ・スプレッドは先週、13%ポイントまで上昇し、2019年7月13日以来の高水準となった。
2019年12月はじめの2.3%ポイント近くの低水準から急上昇し、ビットコインに比べて、イーサリアムに内在するリスクの高まりを示している。
とはいえ、過去3年間の平均ヒストリカルボラティリティ・スプレッドは29%ポイントで、最近の数字よりもかなり高い。イーサリアムは、ビットコインのれべるまで、リスクを比較的減らした。
ボラティリティと平均回帰
平均回帰理論は、データは長期的には歴史的に平均的な水準に戻ると仮定する。もしそれが正しければ、インプライドボラティリティにもヒストリカルボラティリティにも当てはまる。
つまり、29%ポイントという長期的な平均を大きく下回るヒストリカルボラティリティ・スプレッドをもとにして、トレーダーはスプレッドが今後6カ月で29%ポイントへと上昇することを期待できる。
簡単に言えば、イーサリアムは近い将来、ビットコインよりも高いボラティリティで取引される可能性がある。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Jenga image via Shutterstock
原文:Options Market Sees More Risk in Ether Than Bitcoin in Coming Months