750万ドル(約8億2000万円)を集めたICO(新規コイン公開)プロジェクトが、規制の不透明さと新規ユーザー獲得の難しさを理由に終わりを迎えている。
ICOブームに遅れて参入
コンテンツシェアリングプラットフォーム「コンテンツ・プロトコル(Contents Protocol)」は2020年2月19日(現地時間)、ビジネスを成功させるために数多くを試みてきたが、会社を閉鎖し、ICOで調達した750万ドル(約8億2000万円)相当のイーサリアム(ETH)を返金すると発表した。
「依然として続く仮想通貨に関する規制の不透明さと、事業の見通しの欠如のために、我々はプロジェクトの終了を決断したことをお知らせします」
コンテンツ・プロトコルのウェブサイトには、これまでの内容に代わって上記の発表が掲載されている。
コンテンツ・プロトコルは、ICOブームに比較的遅れて参入した企業で、2018年12月にICOを完了した。
韓国の人気ストリーミングサービス「WATCHA Play」の子会社として設立され、プラットフォームで特集された映画やテレビ番組を評価してレビューを書いたユーザーにネイティブトークンのCPTトークンで効果的に報酬を与えることで、コンテンツのシェアを奨励するように作られている。
「ブロックチェーンが可能にしてくれる主要なことは、コンテンツのために無料のマーケティングを提供してくれる新しい参加ユーザーに補償を行うこと」と2018年5月、CNBCのインタビューで、同社グローバルビジネスディベロッパーのジョン・キム(John Kim)氏は語った。
視聴データの販売を目指したが
このプロジェクトはシェアされたデータを処理・分析することで利益をあげようとした。そうしたデータはその後、コンテンツプロバイダーに、プラットフォームでどの映画やテレビ番組を特集すべきかを伝えるために販売するはずだった。
しかし2月19日の発表でコンテンツ・プロトコルはプラットフォームを利用する消費者はほとんどいなかったと嘆いた。「仮想通貨に対するネガティブな認識、価格のボラティリティ、複雑なユーザーエクスペリエンス」がその理由だ。
同社は、仮想通貨に対するネガティブな態度は短期的に改善される可能性は低く、将来、デジタル資産はどのように規制されるかに影響を与えると述べた。
強力なユーザー基盤がないことで、他のコンテンツプロバイダーに同プラットフォームへのコンテンツ提供を促すことも難しかった。
コンテンツ・プロトコルは2018年、プライベートおよびパブリックICOで2万9333イーサリアム(810万ドル、約8億9000万円)を調達した。約750万ドルに相当する残資産はすべてはイーサリアムに交換され、返金を求めた投資家に分配される。
CPTトークン保有者も、1トークンにつき0.002ドル(約22銭)相当のイーサリアムと交換できる。回収されたCPTはすべて、清算プロセスに入る時に破壊されると同社は述べた。
コンテンツ・プロトコルの資産記録によると、約3800イーサリアムが145万ドル(約1億6000万円)に交換され、運転資金となった。資金の一部はビットコイン(BTC)に交換されたが、大半はイーサリアムのままだった。
同社広報担当者は、当記事執筆時点でコメントの求めに応じていない。
翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Korean ICO Project Shuts Down, Says ‘Negative Perceptions’ of Crypto Made Business Impossible