スクエアの決済アプリ「キャッシュ(Cash)」、第4四半期の収益の半分近くはビットコインによるものだった。
ジャック・ドーシー氏が率いる決済企業スクエア(Square)は2月26日に発表した株主宛て文書で、2019年第4四半期決算におけるビットコインの収益を報告した。
2019年10月1日から12月31日のビットコイン収益は1億7800万ドル(約196億円)、利益は300万ドル(約3億3000万円)となり前の2四半期から50%増加した。ビットコイン以外の収益は1億8300万ドル(約200億円)だった。
年間のビットコイン収益は5億1600万ドル(約568億円)、利益は800万ドル(約8億8000万円)となった。
26日の投資家向け報告会でドーシー氏は、新規ユーザーが他のサービスを簡単に見つけることができるよう「キャッシュ」をデザインし直すと述べた。
「ピアツーピアの決済ネットワークは引き続き、我々にとって最良の獲得チャネル。新規ユーザーはビットコイン(とアプリ内の他の商品)を発見し続ける」とドーシー氏は語った。
通常ユーザーの2〜3倍の収益
投資家向け報告会の後半でCFOのアムリタ・アフジャ(Amrita Ahuja)氏は「キャッシュ」アプリ内のビットコイン機能あるいは投資機能を使用したユーザーは、通常のユーザーの2〜3倍の収益を生み出す傾向があると語った。
「我々は効果的に顧客を獲得し、顧客を引き付け、付加価値を提供し続ける方法を提示できる」
スクエアは2018年夏、全米で「キャッシュ」でのビットコイン関連サービスを開始、アプリユーザーにビットコインの売買機能を提供した。2019年6月にはアプリへのビットコインの預け入れが可能になった。
2018年第3四半期、「キャッシュ」アプリのビットコイン収益はわずか4300万ドル(約47億円)、現在の結果はアプリユーザーの間でビットコインへの関心が非常に高くなっていることを示している。
最終的にスクエアは2019年第4四半期、ビットコイン関連サービスに1億7440万ドル(約192億円)の費用を費やし、2019年の合計費用は5億800万ドル(約559億円)となった。2018年は1億6480万ドル(約181億円)だった。
「キャッシュ」アプリの第4四半期の総収益は3億6100万ドル(約397億円)。スクエアの第4四半期の総収益は13億1000万ドル (約1441億円)、年間の利益は19億ドル(約2090億円)となった。
同社は2020年第1四半期、決済とビットコインの費用に最大7億1500万ドル(約787億円)を予定している。
壮大な計画
ビットコインコミュニティの多くは、スクエアがエコシステムに対して他にどのような貢献を行うかに注目してきた。2020年1月、スクエアクリプト(Square Crypto)は、ビットコインのライトニングネットワークへのアプリケーションの統合を容易にするソフトウエア開発キットの開発に注力すると発表した。
ドーシー氏とツイッターの関係から、仮想通貨コミュニティは長く、ツイッターとビットコインの何らかの形での統合を期待してきた。今のところ、ドーシー氏もスクエアもそうした期待の具体化は何も行っていない。
だが、アナリストはスクエアのビットコイン事業の成長をポジティブに捉えている。スクエアの株価は決算発表後に6%上昇した。
「スクエアが世界中でビットコイン事業を成長させることができれば、特に法定通貨の使用が難しい地域やハイパーインフレが続く国において、スクエアは競合他社よりも大きなアドバンテージを持つことになる」と調査会社ガートナーのアナリスト、アビバ・リタン(Avivah Litan)氏はCoinDeskに語った。
「スクエアは世界の最も急成長を遂げる、最も有望な国々で決済ビジネスを成長させることができるだろう。多くはアフリカの国々だ」
翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:Square CEO Jack Dorsey. Credit: Shutterstock
原文:Bitcoin Drove Half of Square’s Cash App Revenue in the 4th Quarter