ネット証券最大手のSBI証券が2月26日、証券総合口座数が500万を突破したと発表した。国内証券最大手の野村證券、532万口座に肉薄。SBIネオモバイル証券を含めれば、野村證券を抜いて今後半年ほどで国内最大の口座数を持つことになるという。
SBIに限らずネット証券の伸長は著しく、2019年には楽天証券も約75万口座を増やし、大手対面証券のSMBC日興証券を口座数で抜いている。
19年のSBI証券新規口座開設者の8割超が「投資未経験」
SBI証券はネット証券の中で、預かり資産残高、株式委託売買代金でも1位。SBI証券は新規口座数が伸びた理由として、2019年に口座開設した人のうち、80%超が投資経験がないといい、個人投資家層の裾野が広がっていることを挙げた。
SBIホールディングスの北尾吉孝社長は、2020年1月末の決算説明会で、SBIネオモバイル証券を含めれば「あと半年程度」で野村證券の口座数を上回る見通しを示している。
楽天証券も19年に75万口座を獲得、SMBC日興抜いて3位に
主要対面証券、主要ネット証券の口座数を示す。数字はSBI証券を除き、2019年12月または2020年1月の口座数だ(千の位を四捨五入、各証券会社のWebサイト、IR情報から)。
主な対面証券
野村證券:532万口座
SMBC日興証券:346万口座
大和証券:301万口座
みずほ証券:180万口座
主なネット証券
SBI証券:500万口座
楽天証券:376万口座
マネックス証券:185万口座
松井証券:122万口座
auカブコム証券:114万口座
楽天証券は2019年を通して約75万の新規口座を獲得、合計約376万口座を有する。SMBC日興証券の346万口座を抜いて、口座数で国内3番手に付けている。楽天証券は、楽天市場、楽天保険など金融からECまでサービスを幅広く提供。ためたポイントを投資・資産運用に活用できることや、楽天カードが高い人気を誇ることもあって、今後もさらなる成長が予想されている。
一方で国内最大手の野村證券も、スマホでの証券事業に乗り出して迎え撃つ。2019年8月には、野村ホールディングスがLINEと共同で設立したLINE証券がサービスを開始している。野村證券も自社でオンラインサービスを提供しているため、パイの奪い合いになるとも考えられるが、LINEと組むことで消費者・投資家との接点、投資のすそ野拡大を優先させたものと見られる。
NISAやつみたてNISA、iDeCoなどを活用した老後に向けた資産形成のニーズは依然高く、今後も証券各社の口座獲得競争は激しくなりそうだ。
文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:SBI証券のリリースより