楽天が運営する楽天市場で、3月中旬から一定額以上で一律送料無料とする方針について、公正取引委員会が2月28日、東京地裁に対して緊急停止命令を申し立てた。楽天は3月18日から送料無料化する方針だった。
公取委は2月10日、楽天に立ち入り検査を実施。「共通の送料込みライン」を定めることが、楽天による「優越的な立場の乱用」にあたるとして問題視していた。
購入1回あたり3980円以上で無料にする方針だった
楽天の計画は、ECサイト「楽天市場」で、3月18日から1回あたり3,980円以上(沖縄、離島では9,800円以上)の購入で送料を無料にするというもの。これに対して、一部の出店者が反発していた。
申し立てでは、独占禁止法の規定に基づき、公取委の排除阻止命令が出されるまで楽天市場の出店者に対し一律に送料を定める施策を実施できないよう求める。
プラットフォーマー規制、出店者保護の流れ鮮明に
プラットフォーマーに対する規制を強化し、出店者を保護する流れが鮮明になりつつある。
政府は2月18日、大手IT業者に取引条件の開示などを求める法案を閣議決定した。これは、楽天やヤフー、Amazonのようなプラットフォーマーと呼ばれる企業に、自身のECサイトやアプリサイトでの出店者との取引条件の開示や、条件変更時の事前通知を義務付けるというものだ。公正な競争を阻害する場合には、公取委に対して独禁法による是正を求める。今国会に提出し、早ければ2020年内の施行を目指している。
この狙いは、大手IT会社に出店者との取引条件の開示を義務付けることで、出店が著しく不利な立場に置かれないことを防ぐことと見られる。
楽天会長兼社長の三木谷浩史氏は2月13日の決算説明会で、意図的に価格を安く抑える一方で送料を高く設定する出店者もいることに触れ、購入者を保護するものと説明。出店者のビジネスを助ける立場であることを強調した。
文:小西雄志
編集:濱田 優
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