仮想通貨トレーダーはコロナウイルスによって大きく変動するマーケットと戦っている。WHOによると2月25日以降、コロナウイルスの新たな感染者数は中国以外の地域が中国の新たな感染者数を上回っている。
OTC取引が増加
コロナウイルスの感染拡大は国際経済を減速させるパンデミックにつながるとの懸念が株価を押し下げている。
S&P500種株価指数は2020年初から10%の下落となった。ビットコインも打撃を受け、1月以来初めて9000ドルを下回ったが、2月28日時点では依然として年初から20%の上昇となっている。
一方、仮想通貨の相対(OTC)取引高はウイルスの感染拡大がニュースとなって以来、増加を続けている。
「過去60日で取引高は大幅に増加している」とシカゴに拠点を置き、OTCクライアントへのサービス提供に特化しているアルテナ・インベスター・サービス(Althena Investor Services)のトレーダー、マイケル・レオン(Michael Leon)氏は語った。
CoinGeckoのデータによると、コインベース(Coinbase)やクラーケン(Kraken )といった取引所での週ごとと取引高も増加している。
世界的に見るとコロナウイルスの影響はさまざまだ。オーストラリアは、ウイルスに大きな影響を受けているアジア経済圏と地理的に近接しているが、少なくともある取引所では取引高の大幅な減少は見られていない。
「ここオーストラリアでは目立った影響はない」とシドニーに拠点を置くORTUSのOTC責任者、ティロ・グリエコ(Tilo Grieco)氏は語った。
厳しい在庫管理を展開
一部のトレーダーがコロナウイルスに備えて検討している戦略は、絶対に必要になるまでボラティリティの高い仮想通貨を保有しないというもの。これがアルテナのOTCが行っていることだ。
「我々は在庫を非常に厳しく管理している。そのためコロナウイルスは問題になっていない」とアルテナのレオン氏は語った。
仮想通貨決済とカストディを提供しているKoineの事業開発・法人セールス責任者、ルパート・ダグラス(Rupert Douglas)氏によると、厳しい在庫管理は先行きの不確実性を考慮すると賢明な判断だ。
「ゴールドやビットコインのような価値の保存の代替手段は年初から上昇し始めたが、ここ数日はうまく行っていない。ボラティリティに潜むような悪霊は解き放たれた。すべてのアセットクラスで大きな価格変動が見られるだろう」とダグラス氏は語った。
ItBit/Paxosのトレーディング責任者、ポール・チャバルディーニ(Paul Ciavardini)氏は、最近のビットコイン価格の低迷は、伝統的な市場で行われた決定から波及している可能性が高いと見ている。
「私の推測では、一部の伝統的な機関投資家は仮想通貨などからも収益をあげており、株式市場や債権市場で起きていることを通して全体的なリスクを軽減しているようだ」
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:CoinMetrics Pro
原文:Coronavirus Is Changing How Crypto Markets Are Trading