仮想通貨、韓国での法制化で市民権──詐欺や資金洗浄防止にも兆し

韓国の議員らは2020年3月5日、仮想通貨取引所に対して新たに厳しい要件を課し、同国で無秩序に広がる仮想通貨経済に正当性を加え、将来的には市場の統合を引き起こす可能性のある法案を可決した。

CoinDesk Koreaが報じた通り、韓国の既存の金融情報法の修正案であるこの法案は、同国のアンチマネーロンダリング(AML)とテロ資金供与対策(CFT)の枠組みを仮想通貨サービス・プロバイダー(VASP)向けに強化するものである。

この法案はすべてのVASPに対して、規制当局への登録と、預金・引き出しを単一の銀行で行うことを義務付ける。バーチャルウォレットと実際の銀行口座とをつなぎ、どちらもユーザーの実名登録を義務付けることによって、規制当局が不法な資金の動きを追跡することが容易になる。

さらに、VASPは自社システムを韓国インターネット振興院から承認を受ける必要があるが、承認はコストがかさみ時間のかかるプロセスで、これまでのところわずか6つの企業と取引所しか承認が完了していない。

このような規制上の負担に耐えられない韓国の小規模なプレイヤーは締め出されることになる可能性があると、CoinDesk Koreaは報じている。取引所は統合を図り、新たな要件を満たすために資金を調達して結束する可能性もある。

しかし、投資家につけ込もうとするグレーゾーンのプロジェクト、特に新法案の元で登録義務に従う必要のある新規コイン公開(ICO)にとっては、終わりを意味するものとなる可能性もある。

「この法案が韓国で成立すれば、ブロックチェーン企業や仮想通貨は韓国において正式に規制され、受け入れられることになります。詐欺まがいのICOや取引所にとっては悪い知らせです。韓国におけるブロックチェーンのプロには良い知らせです」と、メイカーダオ(MakerDAO)のドゥ・ワン・ナム(Doo Wan Nam)氏はツイートしている。

本法案は、暗号資産分野における新たな国際的AMLおよびCFTの指令に従おうとする国家による取り組みの最新例だ。金融活動作業部会(Financial Action Task Force:FATF)がVASP規制のためのガイドラインを発行して以来、規制当局は管轄法域において、違法な可能性のある活動を競って取り締まっている。

韓国の大統領が15日以内にこの修正案に署名すると、法律として成立する。一部の規定は署名後から1年後に発効し、法律全体はその6カ月後に施行される。

翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:The legislation may spell bad news for questionable ICOs. (Image via: Sean Pavone / Shutterstock)
原文:South Korean Lawmakers Greenlight Strict Crypto AML Bill