2019年、マネーロンダリングなどの疑いがある取引として届け出られた件数が、46万7,762件(前年比約1.3万件増)と過去最多となったことが分かった。警察庁に提出されたもので、このうち44万492件が受理されており、こちらも過去最多だった。
警察庁が3月5日に発表した「犯罪収益移転防止に関する年次報告書」(令和元年)版で判明したもの。
マネーロンダリングとは
警察庁によると、マネーロンダリングとは、「一般に、犯罪によって得た収益を、 その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為」のこと。
犯罪収益移転防止法は、一定の範囲の事業者(特定事業者)による顧客等の取引時確認、記録等の作成・保存、疑わしい取引の届出などの措置を中心に、犯罪収益の移転防止のための制度を定めている。犯罪収益移転防止法上の特定事業者(士業除く)は、犯罪による収益との関係が疑われる取引を所管行政庁に届け出なければいけないことになっている。
犯罪収益移転防止法、組織的犯罪処罰法、麻薬特例法違反で検挙・摘発
報告書では、マネーロンダリングなどの疑いのある取引として届け出があり、受理された件数の推移を公開。2010(平成22)年に29万4,305件だった受理件数は2019(令和元)年は44万492件と、およそ1.5倍になった。
実際の検挙件数も増えている。組織的犯罪処罰法、麻薬特例法に違反した容疑で検挙があった件数は、2010年に214件だったが、2019年は537件。10年で倍以上に増えている。
犯罪収益移転防止法についても検挙件数は増加。これは、預貯金通帳などの不正譲渡、為替取引カードなどの不正譲渡、仮想通貨交換用情報の譲渡などを指す。こうした行為は特殊詐欺などの犯行に使われたり、犯罪収益の隠匿(移転)に利用されたりするため、罰則が規定されている。
件数は2015(平成25)年は1619件だったが、2019年は2577件となった。なお仮想通貨交換用情報の譲渡」(IDやパスワードなどの譲渡)にあたる検挙は19年は0件だった(18年は2件)。
文・編集:濱田 優
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