ビットコイン価格は過去24時間で急激に下落、協定世界時3月9日16時(日本時間10日深夜1時)時点で5%下落した。先週、強気相場のサインとなる9000ドルを超えたばかりだが、複数のイベントが重なり、トレーダーは売りに動いた。
9日、新型コロナウイルスの拡大懸念は引き続き株式市場に重くのしかかり、ダウ工業株30種平均は7%下落、S&P500種株価指数は5%超の下落となった。
仮想通貨市場では、中国発のポンジスキーム(出資金詐欺)とされるプラストークン(PlusToken)による1万3000ビットコインの売却がビットコイン価格の下落を後押しした。
「あらゆるものが打撃を受け、ゴールドのような伝統的安全資産さえ、今日はほとんど上がっていない」とデジタル資産運用企業Koineの機関投資家向けセールス責任者、ルパート・ダグラス(Rupert Douglas)氏は語った。
「唯一買われている資産クラスは、米国債」
コロナウイルスもポンジスキームも無関係
「この動きは、大きな問題に関する懸念ではなく、通常のビジネスを行っている大口保有者に関係するものかもしれない」とある市場参加者は述べた。
「これは新型コロナウイルスも、プラストークンも無関係。大型機関投資家から注文を受け、9000〜1万ドルでロング(買い)を清算しているミニくじらに過ぎない」とトロントに拠点を置くデジタル資産マネージャーで相対取引市場のトレーダー、ジェームズ・ハパック(James Hapak)氏は述べた。
「くじら」とはデジタル資産を大量に保有している個人あるいは組織のことだ。
8日、BitMEXでは1億9000万ドルものロングが清算された。特に協定世界時(UTC)15時頃には、2時間で6300件以上の取引があったCoinbaseでの大量取引が重なった。
市場は「くじら」が支配
「仮想通貨はプラストークンあるいはコロナウイルス懸念のために下落したと言う人は多い。ある程度は正しい。だが、仮想通貨について理解すべきことは、市場は多額の資本を持つ複数のグループに厳しくコントロールされているように思えることだ」と台湾に拠点を置くトレーディング企業Kronos Researchの共同創業者、ジャック・タン(Jack Tan)氏は述べた。
「これにより、薄商いの市場も重なって、幅広い範囲で価格操作の条件が整い、こうしたグループが利益を得ている」とタン氏は付け加えた。
ここ数日の下落にもかかわらず、ビットコインはまだ年初から7%上昇している。一方、S&P500は12%下落した。
仮想通貨のステークホルダーたちは短期的にはさらなる痛手を予想している。だが結局、多くのトレーダーは依然として強気だ。
「長期的には、市場はファンダメンタルズをより重視するようになるだろう。我々の仮想通貨に対する見方はますます強気になっている。そのため、我々は引き続き、主要なサポートレベルで購入を続けており、最近ではビットコインは7686ドル付近、イーサリアムは194ドル付近でロングを取った」
他の仮想通貨も幅広く下落した。リスク(LSK)は10%、ダッシュ(DASH)は8%、ビットコインキャッシュ(BCH)も7%下落した。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:CoinDesk
原文:Market Liquidations Cause Cascade in Bitcoin Price