ブロックチェーンを基盤にした金融のガバナンスに向けて、多様な利害関係者が集う国際ネットワーク「ブロックチェーン・ガバナンス・イニシアチブ・ネットワーク」(BGIN、ビギン)が3月10日、設立された。ブロックチェーン領域では、規制当局だけでなく技術者も規制やガバナンスに影響を与えるため、多様な参加者が議論して一定の技術標準を定めることが狙い。
インターネット標準化団体IETFのような組織に
BGINは、2019年に福岡で開かれたG20(主要20カ国・地域首脳会議)などで議論されたマルチステークホルダーの議論をもとに、多様な関係者が議論できるネットワーク。3月10日に開かれたBG2C(Blockchain Global Governance Conference、金融庁・日本経済新聞社主催)のセッションで、正式に宣言された。
発起人の一人であるジョージタウン大学の松尾真一郎研究教授は、記者向け説明会で、IETF(Internet Engineering Task Force、インターネットにかかわる技術の標準化を行う団体)を参考に組織を作ったと説明した。
ネットワークの目的は、多様な参加者が議論できる体制を整えることだ。オンラインで議論を進め、1年に3回会議を行う。 IETFにならってRFC(Request for Comments、インターネットの技術仕様)のような文書を出していきたい考えで、松尾氏は「みんなが安心してブロックチェーンの世界で活動できるようにしたい」と話している。
優先度の高い議題はアイデンティティ、プライバシー、秘密鍵の管理
ブロックチェーンを基盤にした金融では、匿名/仮名性が焦点の一つ。規制当局からすればマネーロンダリングを阻止することは重要だが、利用者にとってはプライバシー保護は重要だ。松尾氏は、BGINの優先順位の高い議題として、アイデンティティやプライバシー、秘密鍵の管理で合意したと説明した。
発起人には23人が名を連ね、日本の金融庁のほか、国際金融協会(IIF)、ビットコインやイーサリアムの開発者、大手仮想通貨取引所、米コロンビア大学ロースクール教授などが含まれる。
文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:BG2C FIN/SUMBBウェブサイトより