新型コロナウイルスによって、原油からビットコインまでさまざまな資産が打撃を受けるなか、世界中の人々は、特に新型コロナウイルス対策がますます厳格になっている地域での仮想通貨イベントの計画を再検討している。
イタリア・ミラノ
3月8日、イタリア政府によって公式に封鎖されたミラノで、ビットコイン起業家でイベント主催者のミール・リポニ（Mir Liponi）氏は、自身が主催する1800人の参加者が見込まれる趣味仲間の集会よりも、さらに差し迫った懸念に直面していた。
結婚式とお葬式は禁止されているとリポニ氏はCoinDeskに語った。食料品の買い物のほとんどはオンラインで行われ、そのために配達は遅れていた。
「当局は我々に食料と薬は十分あると言った」とリポニ氏は語った。
「それは、これまでの18日間は本当だった。（中略）だが、まだ人々は恐れている。店を壊して押し入る人たちもいる」
リポニ氏は検疫は心理的に抑圧的に感じられると語った。
人々は重要な仕事、医療、食料品のために市内を車で移動することだけが許可されている。リポニ氏は、地元の医療システムは「崩壊している」と述べた。医師や看護師が感染し、病院はひどい人手不足に陥っている。
「事態は毎日変化している。私は好んで引きこもりがちな人間だが、今はそれが押し付けられており、自由になりたいと感じる」
スペイン・バルセロナ
一方、ダーク・ウォレット（Dark Wallet）を生み出し、シリアでISISと戦ったことで知られるベテラン・ビットコイナーでサイファーパンクの象徴的人物のアミール・ターキ（Amir Taaki）氏は、コロナウイルスの封鎖政策が終了した後、2020年中にバルセロナにサイファーパンク・アカデミーを開校することを望んでいる。
「人々はまだ、コロナウイルスが及ぼす影響をひどく過小評価している。人々が家で過ごす時間は多くなり、クレジットカードを多く使うようになっている」とターキ氏はスペインの小さな村の隔離場所から電話インタビューで述べた。
「政府は他の目的にも利用できる、より多くの力を自らに与えようとしている」
ターキ氏は自宅でプライバシー技術スタートアップ、ニム（Nym）の仕事を行い、それとは別に「異なる法域における流動性プール」向けのツール開発のために約10人の少数グループと仕事をしている。
「アメリカの銀行や中国企業を中心としたエコシステムを構築することに何の意味があるのか？ 経済が破綻した時、彼らはどのみち撤退するのか？ すべてが遅れてる」とターキ氏は述べた。
バーチャルイベント開催
イタリア人には渡航制限も課せられている。例えば、隣国オーストリアへの入国はもう許されていない。ウィーンでは、Exiledsurferという名前で活動するハッカースペースの共同設立者が4月にバーチャルなノンコン（Noncon）カンファレンスを開催する予定だ。
サイファーパンクの共同体ポリス・パラレラ（Polis Parallela）のメンバーであるExiledsurferは、多くのビットコイナーが仕事を得るために、そうしたイベントに依存していると語った。だが、バーチャルなイベントが対面の集まりに経済的に取って代わることができるかどうかはまだわからない。
いずれにせよ、検疫ルールのない都市でイベントの開催を続けるリスクは深刻なものになる可能性がある。
イーサリアムコミュニティのベテランメンバー数人は今週、パリでのカンファレンスから飛行機で帰宅した後、体調が悪いと伝えた。
2月下旬に緊急事態を宣言したサンフランシスコでも、コインベース（Coinbase）のような企業は3月9日に推奨された在宅勤務の方針を採用した。
サンフランシスコで3月27日に予定されていたビットコイン・マガジン（Bitcoin Magazine）の年次カンファレンスは第3四半期まで延期された。
リポニ氏のような完全に封鎖された地域にいるイベント主催者は、日々の暮らしに注力しており、自身の国際的コンサルティング企業サトシ・デザイン（Satoshi Design）にどのような影響が出るかはまだわからない。
ターキ氏やExiledsurferのように、リポニ氏も自宅で仕事をしながら、家族の状況を把握することはできる。しかし、ターキ氏は広範な経済低迷が続けば、ビットコイン価格はさらに下落すると予測している。
「ダークマネーは仮想通貨に留まり、それが価格を保証する。仮想通貨に投資されたすべての投機的資金は出ていくだろう」とターキ氏は述べた。
「二次的、三次的影響が社会、法律、経済に現れるだろう」
翻訳：山口晶子
編集：増田隆幸
写真：Shutterstock
原文：Bitcoiners in Europe Reflect on Economic Shocks as Coronavirus Spreads
